2019年度版 中国共産党政府による全能神教会迫害に関する年次報告書
目 次
-
目次
- 1. 概況
- 1.1 2019年、習近平政権下の中国で宗教全般への迫害が悪化
- 1.2中国共産党政府の全能神教会への迫害の概況
- 2.中国共産党政府の迫害の特徴についての総括
- 2.1中国共産党政府は、全能神教会のキリスト教徒を発見し逮捕するために、引き続き包括的捜査を行い先進技術を利用した。
- 2.2中国共産党政府は全国で統一大量逮捕作戦を実施するために、特別取り締まり活動を開始した。
- 2.3中国共産党政府はキリスト教徒への大規模で強制的な洗脳と改心を強化し、信仰を離れることを強要した。
- 2.4 2019年の迫害の厳しさは変わらず、全能神教会の少なくとも19人のキリスト教徒が迫害により死亡した。
- 2.5 2019年、全能神教会の千人を超えるキリスト教徒が懲役刑に処せられ、そのうち12人は懲役10~12年の重い刑を受けた。
- 2.6中国共産党政府は、全能神教会のキリスト教徒への一生涯の支配体制を確立し、教徒を憎しみ差別するよう社会を扇動した。
- 2.7中国共産党政府は海外に移った全能神教会の「引き渡し計画」を実行し調査と弾圧を拡大しつづけた。
- 3. 国際社会は全能神教会の迫害の危機に注目しつづけた
- 4. 結論
- 付録: 2019年、21の典型的ケース
- 1) 中国共産党政府が全能神教会のキリスト教徒を裁判手続きを踏まずに殺害
- 2) 中国共産党が全能神教会のキリスト教徒から生きる権利を剥奪
- 3)中国共産党が全能神教会を拷問し教化を試みる
- 4)中国共産党が全能神教会のキリスト教徒通報に多額の報奨金
- 5)中国共産党がキリスト教徒の個人資産を押収
- 6)中国共産党が全能神教会のキリスト教徒を任意に拘束、投獄
- 注:報告書では、事件に関与するキリスト教徒とその家族を保護するために、仮名を用いる事例もある。仮名にはアステリスク(*)を付け、実名とは区別した。
1. 概況
1.1 2019年、習近平政権下の中国で宗教全般への迫害が悪化
習近平を最高指導者とする中国共産党当局は、2019年も引き続き中国全土で新宗教事務条例の施行の強化に力を入れ、宗教の「中国化」を加速させた。当局は「宗教は思想と人々の精神のあらゆる領域で党と対立している」と主張し、「宗教の消滅を加速・促進する」という理不尽な目的を実現して「無神論地帯」としての中国を確立するために、宗教的信仰を全面的に迫害した。また公認教会の傘下に入ることを拒んだ家庭教会を全面的に禁止しようとした。[1]公的な管理下にある宗教については、全ての宗教に対し「社会主義核心価値観」に準じて教義と教会法を再解釈し、聖書やコーランなどの古典的な経典を書き直すよう要求して、共産主義化および社会主義化への転換を進めた。[2]また新条例の施行とともに、宗教団体が共産党政府の指導に従い、「中国共産党の方針と政策を宣伝する」ことを求めた。[3]当局は「組織犯罪を一掃し、悪を根絶する」という名目のもとに、全能神教会、呼喊派、全範囲教会などの宗教団体を迫害している。そうした迫害を「カラー革命」の防止もしくはテロとの戦いと同等とみなして、「政権保全」の取り組みの主軸としているのである。[4]中国では共産党の全体主義的な弾圧のもとで、宗教迫害に関する状況は総体的に悪化している。
新疆(しんきょう)では今もなお、300万人近くのイスラム教徒が再教育強制収容所で無期限に拘束されている。「新疆攻撃方式」は中国全土に広がっている。[5]モスクは破壊され、アラビア語学校は禁止され、多くの家庭教会やカトリック教会の集会所、三自教会が閉鎖された。牧師や聖職者、信者が逮捕されて重い処罰を受けた。中国共産党は、多大な労力を費やして屋外にある仏教と道教の仏像と寺を次々と解体した。チベットでは何千人もの僧侶と尼僧が拘留されて、虐待や拷問を受けている。中国共産党はまた、「ポルノおよび違法出版物の撲滅」という名目で聖書などの宗教書を根こそぎ焼き払い、学校のすべての教科書から宗教に関連する事項を完全に削除した。[6]共産党は聖職者に、社会主義的価値観と党を支持する内容を説教に織り込むよう強制している。信者には、「赤」の歌を歌うよう強要し、宗教組織内に偽の宗教指導者を送り込んでいる。[7]さらに中国共産党は、自らの指導者を「神格化」しようと最大限の努力をしている。宗教的な場所に習近平思想が侵略し、イエス・キリストや聖母マリア、十字架の絵が習近平の肖像画に架け替えられている。[8]習近平思想の本が宗教書にとって代わっている。[9]習近平は「神」としての地位を自任したのだ。まるで文化大革命の再現である。中国で迫害されている宗教団体の中でも、全能神教会は中国共産党によってとくに厳しい抑圧と迫害を受けてきた。不完全な統計によると、2019年には、単に全能神の信仰だけを理由に、同教会の少なくとも32,815人のキリスト教徒が、当局によって逮捕されたり嫌がらせを受けたりした。このうち6,132人は逮捕され、3,824人はさまざまな拷問や強制的な洗脳を受けている。1,355人が刑罰を受け、そのうち12人が懲役10年以上の厳罰を科せられた。この年、迫害のために信者が死亡したという十分な証拠書類がある事例は19件ある。
アメリカのマイク・ポンペオ国務長官は、2019年7月15日から18日まで開催された第2回宗教の自由を促進するための閣僚会議で、今日の中国の宗教を取り巻く状況について次のように述べている。
「中国には現代において最悪の部類の人権侵害が存在する。まさしく今世紀の汚点である」
2020年1月8日には、中国問題に関する連邦議会・行政府委員会(CECC)が2019年版年次報告書を公開した。さらにCECC共同議長のマルコ・ルビオ上院議員(フロリダ州・共和党)は記者会見で習近平政権下の中国における人権侵害の状況を非難して、最悪なのではなく、悪化の一途をたどっていると述べた。
1.2 中国共産党政府の全能神教会への迫害の概況
全能神の現れと働きによって出現した全能神教会(CAG)は、中国の新興キリスト教会である。1991年の設立以来、同教会は中国共産党政府による熾烈な迫害に耐えてきた。1995年、中国共産党は全能神教会、呼喊派、全範囲教会など多くの家庭教会を邪教リスト(「禁止宗教団体リスト」)に加えて、残酷な抑圧と迫害を開始した。不完全な統計によると、2011年から2019年末までの短期間に、全能神教会の40万人以上のキリスト教徒が中国当局に逮捕されている。同教会の設立以来、迫害により信者が死亡したという十分な証拠書類がある事例は146件にのぼる。
2019年に中国共産党が発行した中央1号文件は、同教会など家庭教会を引き続き厳しく弾圧することを求めた。2019年の初めには、中華人民共和国公安部(MPS)が全能神教会を「堀出し叩き潰すことを推進しつづける」特別作戦を発動し、それを「社会の安定維持」のための重要任務と銘打った。同教会への攻撃に関する政府の機密文書は国内全土に配布された。この文書で同教会の「正体を完全に明らかにし破壊」する目的を実現するため重点を置くよう要求されたのは、集会場所の破壊と集会の禁止、主要リーダーの逮捕、教会の献金の押収、国内外での戦いの遂行である。[10]
それから間もなく中国本土中で、全能神教会への弾圧・迫害作戦がまたもや展開された。中国共産党は高度な監視技術に、家への立ち入りと家宅捜索を組み合わせて、同教会のキリスト教徒への包括的かつ徹底的な襲撃を行っている。教会の信者はあらゆる地域で、大規模な逮捕、家宅捜索、残忍な拷問、強制的な洗脳と改心、長期にわたる監視と嫌がらせに直面している。不完全な統計によると、2019年にはただ全能神を信仰しているという理由で、または集会への参加や福音の伝道といった、通常の教会活動に従事したという理由で、同教会の少なくとも32,815人のキリスト教徒が当局による直接の迫害を受けた。中国本土の30の省、自治区および直轄市では、少なくとも26,683人のキリスト教信者が、個人情報の収集、棄教をする旨の「保証状」への署名の強要、強制的な写真やビデオの撮影、監視、指紋や血液標本・髪の毛の採取などの嫌がらせを受けている。少なくとも6,132人の逮捕者のうち、4,161人が短期もしくは長期の拘留をされ、さらにそのうちの3,824人があらゆる種類の残酷な拷問と強制的な洗脳を受け、1,355人が処罰の対象となった。懲役3年以上の厳しい処罰を受けた481人のうち、64人が7年以上、12人が10年以上の刑に処せられた。そうしたなかでも新疆ウイグル自治区イリ・カザフ自治省の向彩花(シャン・カイファ)と崔敬(スイ・ジン)は12年の懲役刑になり、同地域の欧陽秋萍(オーヤン・チューピン)は、神の信仰を理由に2度逮捕されて、合わせて15年半の刑を科せられている。[11]ヨーロッパの人権団体、 国境なき人権(HRWF)[12]と人権及び宗教の自由を保護する協会(ADHRRF)[13]は、2019年の良心の囚人データベースで、全能神教会の4,169人の拘留についての情報を公表している。この年、少なくとも19人の信者が迫害により命を落とし、少なくとも3億9,000万人民元(約5,680万US$)が不当に押収された(教会と個人の資産を含める)。以上の数字は、昨年中国共産党の犠牲になった同教会のキリスト教徒のほんの一部を表しているのにすぎない。厳しい迫害のために、データの大部分は記録することもできていない。
2. 中国共産党政府の迫害の特徴についての総括
2.1 中国共産党政府は、全能神教会のキリスト教徒を発見し逮捕するために、引き続き包括的捜査を行い先進技術を利用した。
2019年、中国共産党政府は、全能神教会のキリスト教徒を発見・逮捕するために、国内のいたるところで全世帯と全国民を対象とする徹底調査を引き続き実施した。山西(シャンシー)、山東(シャントン)、吉林(キツリン)、遼寧(リヤオニン)、安徽(アンホイ)といった省には多数の政府機密文書が配布され、その中で地域内の同教会の信者数、組織構造、中心的信者、献金による蓄財、海外教会支部との連絡経路、海外逃亡した信者の情報といった状況を確認することが明確に求められた。こうした機密文書では、調査により発見されたキリスト教徒を逮捕し、グリッド【15~20世帯をまとめた単位】管理および公安のビッグデータ・プラットフォームに登録し、重要管理対象に設定することも要求された。また、特別作戦によるキリスト教徒の逮捕者を増やすために、ビッグデータと情報のテクノロジーツールを活用することも強調された。[14]
こうした文書の発行後も、中国共産党は引き続き全地域に、宗教調査票への記入と、全ての村や地域共同体で特定の人物(その共同体の警官、補助警察官、グリッド管理者など)を情報収集を装った個別訪問に当たらせるよう命じている。たとえば管轄区域内の人物が全能神教会のキリスト教徒であるかどうかを確認するために、水道や電気メータの検針や人口調査を装わせたり、持ち家についての情報を尋ねるふりをさせたりするのである。中国共産党はまた、大勢の不動産管理会社の社員や無職の浮浪者、地元のならず者を勧誘し、信者と疑われる者とその家族に関する情報の収集と提供を行わせた。[15]医療関係者も、患者とその家族の宗教的信仰について調べなければならない。[16]またあちこちの場所やウェブサイト上で、情報提供の報酬に関する多くのパンフレットを配布したり告知を掲載したりしているほか、報告を提出するための箱を設けている。すべて、全能神のキリスト教徒についての通報を奨励するためである。ファイルに記録されている同教会のキリスト教徒の生物学データ(DNA標本、顔画像、指紋、掌紋、虹彩スキャン、網膜スキャン、血液型、声紋、歩き方、3D画像など)の強制的な収集や、全国的ネットのデータベースへの入力も前年に引き続き行った。それにくわえて中国共産党は世界最大の映像監視システム、スカイネットも利用している。その計画である「シャープ・アイズ」では、地方を対象に24時間態勢の監視と追跡を実施し、キリスト教徒を探し出し標的を定め、チャンスを見計らって逮捕におよんでいる。また全国規模で電話の傍聴やインターネット使用の監視を継続し、要注意用語を分析してキリスト教徒を選別した。国民の携帯電話にはキリスト教徒を発見するアプリを強制的にインストールさせた。キリスト教徒の逮捕者をさらに増やすために、住所が判明したキリスト教徒の住居に侵入して盗聴器を仕掛けたほか、乗り物に追跡装置を設置してGPSとビッグデータ管理システムを活用した追跡を行った。
中国共産党の包括的かつ徹底的な捜索と逮捕にハイテク監視が加わったために、全能神教会の100万人を超えるキリスト教徒が、地下に潜ることを余儀なくされている。こうしたキリスト教徒はみな、四六時中逮捕の危機に直面している。山東省を例にとると、2019年に信者を監視、追跡しズームインする高解像度カメラが利用されて以来、当局は同省全域にわたる逮捕作戦を新たに100回近く発動し、その結果信者924人を逮捕した。これは同省で逮捕された全能神キリスト教徒(1,438人)の64.3%を占める。<詳しくは表1を参照>。
表1: 中国共産党のハイテク監視の結果、山東省で逮捕された全能神教会キリスト教徒の統計
No. |
逮捕時間 |
逮捕場所 |
逮捕人数(人) |
追跡・監視期間 |
1 |
2019/4/17 |
徳州市 |
49 |
6ヵ月 |
聊城市 |
5 |
数ヵ月(徳州から追跡) |
||
泰安市 |
17 |
3ヵ月以上 |
||
2 |
2019/6/8 |
青島市 |
33 |
10ヵ月以上 |
3 |
2019/6/15 |
菏沢市 |
63 |
約一年 |
4 |
2019/6/28-29 |
済南市 |
50 |
数ヵ月 |
5 |
2019/7/7 |
煙台市 |
44 |
半年以上 |
6 |
2019/8/6 |
日照市 |
20 |
3ヵ月以上 |
7 |
2019/8/17 |
淄博市 |
105 |
3-4ヵ月 |
8 |
2019/8/22 |
濰坊市 |
56 |
約一年 |
9 |
2019/8/23 |
菏沢市 |
45 |
数ヵ月 |
10 |
2019/9/1 |
青島市 |
21 |
半年 |
11 |
2019/9/27 |
青島市 |
11 |
半年 |
12 |
2019/10/16-17 |
青島市 |
34 |
40日 |
13 |
2019/11/1 |
青島市 |
42 |
3-4ヵ月 |
14 |
2019/11/8 |
淄博市 |
77 |
4-6ヵ月 |
15 |
2019/11/29-12/5 |
青島市 |
89 |
5ヵ月 |
16 |
2019/12/24-25 |
青島市 |
10 |
一年 |
その他 |
-- |
-- |
153 |
2019年1月、山西(シャンシー)省の運城(ユンチャン)公安局塩湖(ヤンフー)分局は、不動産の賃借人についての情報を収集するために、賃借物件のオーナーに「運城の空の目」(天眼运城)アプリをインストールするよう要求しはじめた。[17]こうした調査がスカイネットの利用や戸別調査など他の手段とともに組み合わされて数ヵ月間続いたあと、9月9、10日には運城と臨汾(リンフン)の二つの市で一斉逮捕作戦が実行されて、全能神教会の少なくとも226人のキリスト教徒が身柄を拘束された。9月16日には浙江(チョーチャン)省湖州(フーチョウ)市で、同教会の24人のキリスト教徒が逮捕されたが、その大半が電動自転車に追跡装置を取付られていた。全国をカバーした中国共産党のデータベースのために、現在追われているキリスト教徒はまったく普通の暮らしができない状態にある。身分証明書を見せたとたんに逮捕されるので、旅行や仕事、病院での治療、普通に文書を手に入れることさえ不可能になっているのだ。全能神教会のキリスト教徒の中には、指名手配になって何年も中国共産党に追われているうちに重い病気にかかった者もいるが、治療を求められないので、たとえ死という代償を払うことになるにしても、病の苦痛に耐えるほかないのである。[18]
2.2 中国共産党政府は全国で統一大量逮捕作戦を実施するために、特別取り締まり活動を開始した。
事前調査とハイテクを駆使した位置特定と追跡によって、全能神教会の一部のキリスト教徒の情報を明確に把握すると、中国共産党政府は全国的な大規模逮捕を開始した。詳細の全てを確認できない地域もある。とくに新疆(しんきょう)は立ち入り制限区域となっており、中国共産党の厳しい監視と管理の下に置かれている。概算のデータによると、中国共産党当局は2019年に全国の省、市、県で全能神教会のキリスト教徒に対し千回を超える逮捕作戦を実行して、少なくとも6,132人を逮捕している。そのうち最年少は14歳、最高齢は86歳だった。中国の全省のうち、迫害がもっとも厳しかったのは山東(シャントン)である。昨年12月の時点で、1,438人もの逮捕者が確認されていた。以下に挙げるのは、全国規模で実行された逮捕作戦のほんの数例である。
河南(ホーナン)省の役人は1月から7月にかけて、全能神教会に対するプロパガンダを広めて大衆の激しい抗議をでっちあげることに、それまで以上に熱心に取り組んでいた。半年余りのうちに、少なくとも319人が逮捕され、2,742人が警官による自宅訪問と嫌がらせを受けた。[19]
7月と8月には山東省で、同教会のキリスト教徒を標的とする集中逮捕のために警官隊が動員され、少なくとも260人のキリスト教徒が身柄を拘束された。その大部分がスカイネットやシャープ・アイズによる警察の追跡と監視を数ヵ月にわたって受けていた。[20]
7月上旬には、河北(ホーベイ)省の唐山(タンシャン)市で、全能神教会に対する組織的攻撃のために、約300人規模の警官隊が動員され、少なくとも41人のキリスト教徒が逮捕された。その中には1人の妊婦もいた。約5万人民元(7,280US$近く)の教会と個人の資産が押収された。地方公安局の内部の人間は、逮捕作戦を命じたのは党中央委員会で、省の視察団と市の国保大隊が極秘裏に緻密な計画を立案したことを明らかにしている。またこの逮捕作戦が行われる前には、内偵と監視が何ヵ月にもわたって継続されていた。[21]
8月、福建(フーチエン)省の福州(フーチォウ)市、莆田(プーティエン)市、三明(サンミン)市で、同教会の41人のキリスト教徒が逮捕された。最高齢が85歳、最年少が17歳という若さだった。10,200人民元(1,485US$近く)の個人資産が押収された。同月、広東省では同教会の約30人のキリスト教徒が逮捕・拘留された。[22]
9月6日、朝のかなり早い時刻に、安徽(アンホイ)省蕪湖(ブーフー)市で全能神教会の集会所が少なくとも13ヵ所急襲されて閉鎖された。このとき少なくとも42人が警察に逮捕された。[23]
9月9、10日、山西省の運城市と臨汾市で、一斉逮捕作戦が展開された。両市では全能神教会のキリスト教徒に対し、ハイテク監視手段を使った追跡と監視が1年以上前から行われていた。逮捕者は少なくとも226人にのぼり、2,011,961人民元(293,000US$余り)が略奪された。170人が強制的な洗脳を受けた。
10月と11月には、山東省の青島(チンタオ)市で「組織犯罪を一掃し、悪を根絶する」運動にかこつけて、全能神教会を弾圧すべく特別警察隊の警察官千人が集結した。全能神教会の少なくとも108人のキリスト教徒が逮捕され、平度(ピントー)市で集会所が1日のうちに24ヵ所急襲された。そのすべてが数日間中国共産党警察の監視下に置かれており、半年以上監視されつづけていた例もあった。[24]
以下の(不完全な)統計の表は、中国の30省全体(直轄市と自治区を含む)で逮捕され、抑留され、拘束され、処罰を受けた全能神教会のキリスト教徒の数を示している。
表2:2019年に逮捕、拘留、処罰、拘束の対象となった全能神教会のキリスト教徒の数
省 (直轄市、自治区) |
逮捕者数 |
拘留者数 |
拘束者数 |
処罰者数 |
合計 |
6,132 |
4,161 |
1,706 |
1,355 |
北京市 |
9 |
7 |
5 |
14 |
天津市 |
14 |
8 |
5 |
1 |
河北省 |
115 |
71 |
43 |
7 |
山西省 |
376 |
261 |
12 |
49 |
内モンゴル自治 |
54 |
41 |
26 |
31 |
遼寧省 |
83 |
54 |
22 |
69 |
吉林省 |
30 |
21 |
12 |
15 |
黒竜江省 |
26 |
15 |
8 |
11 |
上海市 |
6 |
6 |
6 |
|
江蘇省 |
647 |
386 |
135 |
194 |
安徽省 |
242 |
168 |
93 |
15 |
浙江省 |
178 |
153 |
56 |
109 |
福建省 |
271 |
213 |
51 |
12 |
江西省 |
241 |
168 |
70 |
146 |
山東省 |
1,438 |
1,021 |
509 |
167 |
河南省 |
904 |
605 |
147 |
55 |
湖北省 |
130 |
81 |
32 |
39 |
湖南省 |
29 |
19 |
5 |
45 |
広東省 |
166 |
135 |
82 |
29 |
広西チワン族自治区 |
49 |
31 |
5 |
2 |
海南省 |
3 |
2 |
||
重慶市 |
152 |
69 |
20 |
17 |
四川省 |
150 |
73 |
23 |
72 |
貴州省 |
81 |
53 |
31 |
5 |
雲南省 |
210 |
140 |
41 |
79 |
陝西省 |
235 |
117 |
86 |
18 |
甘粛省 |
141 |
122 |
72 |
35 |
青海省 |
14 |
3 |
2 |
|
寧夏回族自治区 |
26 |
9 |
4 |
2 |
新疆ウイグル自治区 |
112 |
109 |
103 |
117 |
注:2019年の処罰者数はその年に逮捕された者のみに限らない
2.3中国共産党政府はキリスト教徒への大規模で強制的な洗脳と改心を強化し、信仰を離れることを強要した。
2019年、中国共産党政府はたびたび文書を発行して、強制的な洗脳と改心の「強化」に力を入れ、あらゆるレベルで「改心率指標」を設けるよう強く求めた。それ以降、全能神教会のキリスト教徒への強制的な洗脳と抑圧は激化した。たとえば2019年の4月には、重慶(チョンチン)直轄市の石溪(シーシー)鎮に文書が発布され、地元の派出所や司法局、中央社会治安綜合治理委員会弁公室がそれぞれの管轄内で同教会のキリスト教徒への強制的な洗脳と改心を実施し、「年間の改心率が確実に90%を下回らないようにする」よう求められた。[25]公安機関は拷問を用いてキリスト教徒を尋問し、強制的に洗脳しようとしているが、中国共産党はそれに加えて市や県、郷級行政区に「法制教育学習班」を設立している。その目的はキリスト教徒が「短期間で思想的立場の改心を達成」するよう「包括的で組織的」な強制的洗脳を行うことにある。国中の地域で、大勢のキリスト教徒が洗脳や改心を拒んだあと、中国共産党による熾烈な尋問やさまざまな手段の残酷な拷問を受けている。懲役刑になった者も、裁判手続きを踏まずに処刑された者もいる。2019年の末には、米国国際宗教自由委員会(USCIRF)が、全能神教会の良心の囚人53人のリストを公表した。そのうち少なくとも7人が、強制洗脳の基地に監禁されて残忍な洗脳を受けていた。
中国共産党はキリスト教徒を完全に改心させる取り組みの一環として、異常に残忍な洗脳の「教師」グループを訓練している。2019年、山西省の公安庁職員で人権侵害者であることが暴かれている程飛(チェン・フェイ)は、全能神教会のキリスト教徒に対する洗脳チームの主力を自称して、多くの教科課程を組んだほか、自分でも同教会の千人以上のキリスト教徒に対し強制的な洗脳と改心を施したと述べた。程飛の手口は、「生徒」に次から次へと嘘や虚偽の事実を吹き込む、長時間睡眠を奪い食事を与えない、殴打する、感電させる、催涙ガスをスプレーする、体罰を与える、侮辱する、といったものである。すべて信仰から離れることを強要するためのものだった。過去には、男性キリスト教徒の乳首と性器に煙草の火を押しつけ、さらに胸から下と下半身にポット4杯の熱湯をかけて火傷をさせたこともある。[26]程飛のもとで10日以上強制的な洗脳を受け改心を強要された女性キリスト教徒は、追い詰められたあげくビルから飛び降りて亡くなった。[27]2019年の9月には、山西省の臨汾市で、同教会の226人のキリスト教徒が逮捕され、少なくとも105人が臨汾法制教育基地に収容されて、程飛による強制的な洗脳を受け改心を強要された。
新疆では、全能神教会のキリスト教徒もイスラム教徒も同様に、中国共産党当局に「過激派勢力」の烙印を押されている。警察は同教会の教徒のリストにある全員の家を訪れて、教徒を不当に扱い逮捕している。80代の者も容赦されない。多くの者が教育改心キャンプに拘禁され、信仰を棄てようとしないために暴行を受けている。宙吊りの拷問を受けた者もいれば、鉄の椅子に手錠でつながれて通電や殴打をされた者も、全裸になるのを強要された者もいる。[28]キリスト教徒の家族が愛する者の拘束場所を知るのは不可能であり、家族自身も当局による厳しい通信傍受や監視を受けている。[29]塔城(ターチョン)地区、バインゴリン・モンゴル自治州、昌吉(チャンジ)回族自治州や哈密(ハミ)市といった地域では、多くのキリスト教徒が改心を拒んでいまもなお拘束されている。その生死も定かでない。庫爾勒地区では、キリスト教徒の夫婦が真夜中に逮捕されて連行されたため、3歳の子供が孤児になった。[30]
2.4 2019年の迫害の厳しさは変わらず、全能神教会の少なくとも19人のキリスト教徒が迫害により死亡した。
2019年には、中国共産党当局の狂気じみた追跡、逮捕、虐待のために、全能神教会の少なくとも19人のキリスト教徒が迫害死した。このうち最年少は21歳、最高齢は75歳だった。拘留中の残忍な拷問に耐えつづけて亡くなった者もいる。重い病気にかかっても拘束されつづけ、長期間虐待され強制労働を強いられたすえに病状が悪化してついに命を失った者もいる。ある教徒は、警察に包囲され逃げようとしてビルから転落して亡くなった。中国共産党から際限のない嫌がらせと追跡を受けたために、絶望のあまり自らの命を絶った者もいた。中国共産党に扇動された大衆や教徒自身の家族によって迫害され、死にいたった者もいる。そうした例は枚挙に暇がない。
以下に挙げるのは、2019年に迫害の結果命を落とした全能神教会のキリスト教徒についての概要である。
表3: 2019年に迫害死した全能神教会のキリスト教徒の概要(不完全)
No. |
被害者名 |
性別 |
年齢 |
本籍 |
逮捕日 |
死亡日 |
死亡説明 |
1 |
任翠芳 |
女 |
30 |
内モンゴル自治区 |
2018.12.22 |
2019.1.3 |
彼女は新疆での逮捕後、中国共産党の残忍な拷問を12日間受けて亡くなった。遺体の両目の周囲の皮膚は青や紫に変色し、左胸には黒ずんだ紫のあざがひとつあった。片方の太腿には火傷の痕があった。両方の手首とかかとには裂傷と流血の痕があり、左足の親指の爪は剥がれていた。 |
2 |
喩祥菊 |
女 |
68 |
陝西省 |
2018.6.27 |
2019.3.29 |
彼女は重い病がありながら拘束された。警察が薬を没収し治療を故意に遅らせたために、病状が悪化し死にいたった。 |
3 |
劉君* |
男 |
21 |
江西省 |
2018.7 |
2019.8.10 |
彼は腎臓病を患っていても警察に二度逮捕・拘留された。警察はその治療を故意に遅らせた。そのため健康が急速に悪化し、尿毒症の発症から心臓病を併発して死にいたった。 |
4 |
真宇* |
女 |
38 |
遼寧省 |
2018.6 |
2019.4.18 |
彼女は乳がんの手術を受けたあと逮捕・拘留された。虐待と強制労働が長引くうちに、健康状態が急激に悪化しそのために亡くなった。 |
5 |
張美娟* |
女 |
46 |
浙江省 |
2017.7.2 |
2019.11.8 |
彼女は拘留中に受けた虐待のために肺病になった。治療を故意に遅らせられたために診断を受けたときには肺がんになっており、病状がますます悪化して亡くなった。 |
6 |
成香魚 |
女 |
54 |
山西省 |
2018.11.15 |
2019.1.13 |
彼女は拘留中に病気になり、2ヶ月治療が遅れたために病状が劇的に悪化した。警察が洗脳センターに強引に移送したあと死亡した。 |
7 |
劉華* |
男 |
69 |
寧夏回族自治区 |
2012.12.8 |
2019.3.5 |
彼は警察の拷問のために寝たきりになり、中国共産党の手先が始終やって来て嫌がらせや脅しをしたことがストレスになり、それが原因で鬱状態になった。病状は悪化の一途をたどり、その結果彼は亡くなった。 |
8 |
王華* |
女 |
46 |
湖北省 |
2015.7.23 |
2019.5.5 |
中国の警察は、釈放後彼女を何年も監視し嫌がらせを続けた。彼女の家族にもたびたび圧力をかけ、家族以外にも彼女の信仰に反対するようそそのかした。そのため彼女は長年差別や虐待、ストレスを受けることになり、結果的にがんを再発させて亡くなった。 |
9 |
李素連 |
女 |
56 |
河南省 |
2019.5.7 |
2019.5.7 |
彼女は中国共産党の警察に取り囲まれて、窓から逃げようとして転落死した。 |
10 |
王平* |
男 |
55 |
山東省 |
2008.10 |
2019.5.1 |
彼は釈放後、警察に追われていた。逃亡中に重い病気になったが治療を求めようとはせず、治療不可能な病気のために落命した。 |
11 |
高英* |
女 |
73 |
山東省 |
2018.8.27 |
2019.5.31 |
彼女は信仰を理由に逮捕されて家宅捜索を受けた。そして継続的な監視と嫌がらせのために、心臓発作を起こして死にいたった。 |
12 |
付丹* |
女 |
-- |
山西省 |
2019.9 |
2019.10 |
彼女は逮捕後、強制的な洗脳を受けるために洗脳センターに連行され、病気のためにその日のうちに釈放された。その5日後、彼女は息を引き取った。 |
13 |
張冬民* |
男 |
68 |
山東省 |
-- |
2019.7.25 |
彼は信仰のために警察の尋問を受け、自宅を封鎖された。重病の妻は、二度の逮捕・尋問・拘留のために死に瀕していた。極度の恐怖と不安に見舞われ、彼は心臓発作で亡くなった。 |
14 |
閻平* |
女 |
约40 |
山東省 |
-- |
2019.9.6 |
彼女は信仰のために尋問を受け、中国共産党によって重要逮捕対象者に指名された。警察はたびたび職場や家族に圧力をかけて、彼女に信仰を捨てさせようとした。心理的圧力に耐えきれなくなり、彼女は自殺した。 |
15 |
程東珠 |
女 |
64 |
湖北省 |
-- |
2019.7.24 |
彼女は中国共産党の度重なる監視と圧力に耐えきれなくなり、湖に身を投げて自殺した。 |
16 |
肖欣* |
女 |
75 |
湖南省 |
-- |
2019.8.27 |
中国共産党は、彼女に棄教を強制するために、本人が特別手当を取り消され家族も政府の雇用資格を失うことになると脅した。中国共産党が広めたデマに騙されて、家族が彼女をつねに監視下に置き、拷問や殴打をくわえたために、彼女はついに自らの命を絶った。 |
2.5 2019年、全能神教会の千人を超えるキリスト教徒が懲役刑に処せられ、そのうち12人は懲役10~12年の重い刑を受けた。
不完全な計算によると、2019年には「邪教組織を利用して、法の執行を妨害した」したとして同教会の少なくとも1,355人のキリスト教徒が処罰されたが、その根拠となったのは集会や福音の伝道、自宅での全能神の信仰に関する印刷物の保管といった、ただの宗教活動にすぎないことだった。2018年に一般に知られていた633件の有罪判決と比較すると、この数字は114%の増加を示している(詳細は図1、2を参照)。2019年に処罰された者のうち、481人が3年以上、64人が7年以上の刑を受けた。江西(シャンシー)省と四川(スーチョワン)省では、同教会の中堅リーダーである楊美雲(ヤン・メイウン)と陳菊(チェン・ユー)の両名が11年の懲役となった。中国判決オンラインには、2019年に新疆で下された判決10件が公表されている。その記録によると、同教会のキリスト教徒で処罰を受けた者は117人おり、そのうち3年以上の刑を受けた者は88人で、全体の75.2%を占めていた。5年以上の刑を受けた者は64人で54.7%を占め、10年以上の刑を受けた者は7人だった。新疆は立ち入り制限区域となって中国共産党の厳しい監視下にあるため、迫害に関するデータの入手は困難であるので、このような数字は受刑者の総数にはおよばないはずである。ヨーロッパの人権団体、国境なき人権(HRWF)と人権及び自由を保護する協会(ADHRRF)も、2019年に拘留された全能神教会の4,169人のキリスト教徒に関する情報を公開している。このうち3,442人が女性で83%を占めていた。39人が10年以上の刑を受け、936人がすでに1年以上拘束されているが、刑期は依然として知られていない。
注: (1,2]は1年より長く2年以下の刑期を表す。以下も同様)2017年に処罰された全能神教会のキリスト教徒の総数は244人、2018年は633人、2019年は1,355人である(39人の刑期は依然として不明)。
2019年に、ネバダ大学リノ校の社会学および法学の名誉教授、ジェームズ・T・リチャードソンと新興宗教研究センター(CESNUR)創設者のマッシモ・イントロヴィーニャ、難民の宗教的自由の国際観察機関(ORLIR)の理事であるロシータ・ショリーテは共同報告書を発表し、その中で全能神教会の200人のキリスト教徒の評決に関する研究から、ひとつの結論に達したと述べた。それは同教会のキリスト教徒が、ただ平和的に信仰の自由と表現の自由の権利を行使しているだけなのに、中国の刑法第300条を適用されて有罪を宣告され刑を受けているということである。刑法第300条は、宗教的信仰を迫害するための中国共産党の秘密兵器なのである。[32]
一般的に全能神教会のキリスト教徒は、今もなお公正な裁判を受ける権利を剥奪されている。河南省と吉林省の地方政法委員会は、2019年に発行した2種類の文書の中で、同教会のキリスト教徒など宗教団体の信者の裁判で代理人を務める弁護士に対し「監督と指導」を強化し、被告の無罪の申し立てを「絶対に人権派の弁護士にさせない」よう求めた。9月12日には四川省自貢(ズーゴン)市富順(フージュン)県の法廷で、全能神教会の18人のキリスト教徒が、「邪教組織を利用して、法の執行を妨害した」として刑を言い渡された。裁判官が評決を読み上げる前の審理は20分しか行われておらず、評決文に記されている日付は、審理の2週間ほど前の2019年8月28日だった。[33]
懲役刑になった同教会のキリスト教徒の大部分は、刑務所の洗脳施設に送りこまれつづけて、さらなる迫害を受けた。2019年4月には、中国共産党中央委員会の中央弁公庁と国務院弁公庁が、『刑務所作業の強化及び改善に関する意見書』と題した文書を通達し、その中で同教会のキリスト教徒を含む宗教団体の信者に対する矯正の取り組みの強化に特別に言及して、「改心の成功率を上げ、改心のポジティブな結果を強固なものにする」[34]と述べた。同教会の多くのキリスト教徒はただ信仰を守っているがために、残忍で非人道的な虐待を受けている。2019年3月には、同教会の60代のキリスト教徒、章義(ジャン・イ)*が、服役するために浙江省の刑務所に入れられた。看守たちは「三書状」(改悛状、保証状、糾弾・非難状)への署名を強要して、プラスチック製の釘がつき出している椅子に、章義を連日長時間座らせた。3ヵ月後には、章義の臀部は傷だらけになって化膿し、体中が痛くてしゃがめなくなった。この拷問は半年間続き、刑期満了になってようやく終わった。[35]もう一人の同教会のキリスト教徒、譚慧真(タン・フイジェン)*は、服役中に7ヶ月以上におよぶ洗脳と改心の暴力的な強要を受けた。彼女はその間毎日、中国共産党がまとめた「改心」の教材で学習することを強いられた。食べ物も飲み物も与えられず、決まった時間しかトイレに立てない。さらに殴打される、苦しい姿勢を長時間とらせられる、乳首をひねられるなどといった拷問を受けたうえに、無理やり向精神薬を飲ませられた。譚慧真は釈放後も、反応の鈍化と見当識障害に苦しんでいる。[36]
投獄された全能神教会のキリスト教徒は、一般的に1日に12~20時間、無報酬で過酷な奴隷労働に従事させられる。あるいは明らかに人体に危険な作業を、無防備なまま遂行するよう強いられる。このような作業は身体に重大な障害をもたらす。同教会のキリスト教徒、肖雲(シャオ・ユイン)*は、雲南(ユンナン)省の女子刑務所での服役中に、セーターを縫製する作業場で毎日13時間以上におよぶ長時間労働を強いられた。作業場には埃と黒煙にくわえて、染料の有毒ガスの臭いが充満していた。看守は信仰を捨てる意志を示す「三書状」に署名させようとして、肖雲を長期間にわたって虐待し、殴打しつづけた。2年後、肖雲は肺疾患を発症し、4年後にはそれが悪化して結核になった。だが刑務所の職員はきつい奴隷労働を強制しつづけた。2019年に釈放されたときはすでに左の肺が損傷を受けて、基本的な肺機能を失っていた。肉体労働はもう無理な体になっていた。[37]
全能神教会のキリスト教徒は、服役中は一般的に医療を受ける権利を剥奪されている。そのために2019年だけでも、少なくとも5人の信者が落命した。
2.6 中国共産党政府は、全能神教会のキリスト教徒への一生涯の支配体制を確立し、教徒を憎み差別するよう社会を扇動した。
2019年1月9日、中華人民共和国公安部弁公庁は文書を発行し、「登録が抹消されることはない」という明確な言葉で、全能神教会のキリスト教徒として登録されている者を一生涯監視下に置くよう求めた。中国共産党当局はまた、政府の下級職員に目標責任状に署名して全能神教会を厳しく取り締まり、その際に「5対1体制」を取るよう要求している。これは4、5人の選ばれた者を監視にあたらせるという方式で、一人は派出所からの担当官、一人は住民の共同体または村の代表、一人は職場の管理者、一人は問題となっているキリスト教徒のすぐそばにいる近親者から選ばれる。メンバーは24時間の監視を行い、召集に遅滞なく応じられるようにしなければならない。公務員はまた、定期的に「法制教育学習班」を開設する必要がある。管理下にある信者については、一人ひとりファイルを作り、身分情報や教育、改心の進行状況、評価・結論などを示す詳細な情報を記録しなければならない。[38]キリスト教徒が宗教活動に参加しているのがわかったら、即座に逮捕され、ふたたび強制的な洗脳を受けることになる。
このような牢獄のような管理は、キリスト教徒にとって心理的な拷問である。河南省の全能神教会のキリスト教徒、趙梅(チャオ・メイ)*は、2017年7月からキリスト教徒の集会を主催していると記録されていたために、駐在している警官と村役人の監視が始まり、家に来て質問されたり脅されたりした。家の玄関に盗聴器も仕掛けられた。2019年4月、中国共産党当局のやまない抑圧と嫌がらせにもはや耐えられなくなった趙梅は、殺虫剤を飲んで自殺を図った。だが救命処置のおかげで命にかかわる危険は回避された。治療中も、村役人が何人か病院にやってきてまたもや彼女の写真を撮った。趙梅は恐怖のあまり点滴を引き抜き、両手で頭を抱え込んで泣き叫んだ。退院を許されてからも、村役人は厳重な監視を続けた。[39]他にも例はある。湖北(フーベイ)省棗阳(ザオヤン)市のキリスト教徒、王華(ワン・フア)*は、全能神の信仰のために、2015年7月に逮捕されて10日間拘束された。釈放後、中国共産党の警官は地元の村役人と連携して彼女を監視し、長年旅行を制限した。彼らは頻繁に彼女の家を訪れては嫌がらせをしたり脅したりして、彼女が信仰の教えに従うのを許さなかった。王華は家を出て地下に潜った。すると村役人は彼女の家族に圧力をかけて、居所を尋ねつづけた。長期のストレスと鬱状態に苦しんだ彼女は、乳がんを再発し、受けていた治療の効き目がないとわかったあと、2019年に息を引き取った。
中国共産党は全能神教会を貶めて中傷し、人々を効果的に「洗脳」するために、「黒宣伝」の取り組みを強化し、メディアを操作して嘘をでっち上げフェイク・ニュースを拡散しているほか、興行物やパレード、村や町でのプロパガンダ・テーマパークの建設によって噂を広めている。中国共産党はまた全能神教会のキリスト教徒の家族への抑圧も強めている。家族から雇用や軍隊への入隊、公務員試験の受験といったものにかかわる権利を奪い、[40]キリスト教徒に信仰の放棄を強いるように社会と家族に圧力をかけているのである。9月には、河南省商丘(シャンチュウ)市の同教会のキリスト教徒、王渺(ワン・ミャオ)*の夫が、上司から圧力をかけられ中国共産党の嘘を鵜呑みにして、妻を通報した。そして無理やり「信仰放棄約束カード」に署名させ、王渺が片耳の聴力を失うほどの激しい暴力をたびたびふるうようになった。湖南(フーナン)省永州(ヨンチョウ)市の同教会のキリスト教徒、肖欣(シャオ・シン)*の息子は、フェイク・ニュースを真に受けただけでなく、村役人に、お前の母親が神を信じつづけるなら、母親の特別手当は取り消されて、家族三世代の学校や仕事に関する機会にも影響があるぞと脅された。そのため息子は肖欣の信仰の実践を妨げるために手段を選ばなくなり、身体や言葉による虐待をくわえはじめた。肖欣は5年ものあいだ追跡と監視を受けていた。傷つき悲嘆に暮れどうしようもなくなった肖欣は、2019年8月、75歳のときに殺虫剤を飲んで自殺した。閻平(ヤン・ピン)*は山東省聊城(リャオチェン)市の教師で、全能神教会のキリスト教徒でもあった。警察は全能神の信仰を理由に、身辺捜査の申請をした。学校の管理者は公安局に協力して、信仰の放棄を強要するために長期にわたり多大な圧力をかけた。2019年9月、閻平はついに湖に身を投げた。亡くなったあと、携帯電話に次のような未送信のメールが見つかった。
「夫と子供を巻き込みたくありません。どちらも愛しているのです」
2.7 中国共産党政府は海外に移った全能神教会の「引き渡し計画」を実行し調査と弾圧を拡大しつづけた。
2019年、中国共産党政府は全能神教会への弾圧の範囲を国境の外に拡大した。そして数多く発行した文書の中で、「海外の工作資源」を活用し、インターネット技術と伝統的な調査方法を組み合わせて海外の全能神教会の活動を把握し、同教会の海外人員に関するデータベースに情報を入力したうえで各個人に対する分析を行い、戦略を練るよう要求した。中国共産党は、民主国家の政府に圧力をかけつづけ、同教会の海外ネットワークに侵入してメディア攻撃を仕掛け、デマをでっちあげて拡散し、信者の親族に「行方不明の親族探し」のために海外に行くよう強制し、大衆の厳しい非難を捏造した。そのすべてが同教会のキリスト教徒を全員中国に送還させるための試みなのである。[41]
内部の情報ソースによれば、中国共産党は数ヶ月ごとに韓国政府に使者を送り、同教会の難民申請者名簿の提出を求めているという。また同教会の製作映画すべてについて出演者のスクリーンショットを撮り、ウェブ上に投稿して一般人から情報を得ようとしている。
2019年には、国家安全部、[42]省公安庁、公安局、国保大隊といったさまざまな政府機関の職員が、韓国に逃亡した全能神教会のキリスト教徒の親族を甘い言葉や脅しを使って韓国に向かわせつづけた。共産主義のシンパ、呉明玉(ウー・ミンギュ)が計画し仕掛けるデモに参加させるためである。7月22日から24日にかけて、呉明玉は山東、河南、河北などの省から来た同教会キリスト教徒の家族20人以上を率いて、韓国移民局や温水(オンス)にある全能神教会、青瓦台をめぐって偽の「自発的デモ」を行った。デモ隊は「中国は彼らを絶対に傷つけていない。偽物の難民を返せ」といったスローガンを叫んだ。こうした行動の目的は、全能神教会を中傷して信用を落とし、キリスト教徒個人を攻撃し、大衆からの激しい抗議をでっちあげることにより韓国政府に圧力をかけて同教会の難民を中国に送還させることにある。その一方では、全能神教会に属する難民30人が青瓦台で記者会見を開き、中国共産党のもとで受けた迫害の事実の数々を語った。多くの海外メディアの支局がこのことを報じ、中国共産党の送還計画を白日の下に曝して非難した。中国共産党は「送還計画」を実現するために、2016年以来、韓国で偽の抗議行動を12回行っているが、いずれも失敗に終わっている。2019年の夏には、中国共産党が送還計画の一環である「行方不明の親族探し」の範囲を拡大しヨーロッパとアジアの他の国々を含めたので、ヨーロッパや日本に逃れた同教会キリスト教徒の親族の中にも、中国共産党の嫌がらせを受ける者が出てきた。[43]
2019年、中国共産党はミャンマーやフィリピンなど37ヵ国に対し新疆での迫害を支持するよう求めて説得しただけでなく、その卑劣な手をミャンマーとフィリピンにいる全能神教会のキリスト教徒にまで伸ばした。12月の初めには、ミャンマーのワ州政府が同教会のキリスト教徒への厳しい調査を開始すると同時に、中国共産党によってでっち上げられた同教会についてのデマも拡散した。また調査からキリスト教徒であるとわかった者を、信仰を放棄しなければ厳罰に処すると脅迫した。
3. 国際社会は全能神教会の迫害の危機に注目しつづけた。
2019年には、中国共産党政府によって全能神教会が過酷な抑圧と迫害を受けているという現実に、国連はもちろんアメリカ、カナダ、イタリア、ベルギー、リトアニア、韓国などの非営利団体や報道記者、人権活動家が懸念をいっそう深めた。一部の民主国家の政府機関は積極的な対応に出て、中国から逃れて亡命を求める同教会の難民に支援の手を差し伸べている。
2019年3月4日には米国連邦議会で、さまざまな宗教団体と人権団体のメンバーが記者会見を開き、中国での信教の自由を推進するための同盟(CARFC)の正式な発足を発表した。国際的な宗教の自由に対する特使のサミュエル・D・ブラウンバック、中国問題に関する連邦議会・行政府委員会(CECC)議長のジェームズ・P・マクガバン(民主党・マサチューセッツ州)も参加して支援している。この同盟の使命は、米国政府に強く働きかけて中国共産党の宗教的自由への弾圧に対し、断固たる行動を取らせることにある。全能神教会も同盟のメンバーであるため、中国共産党によって同教会が受けている残酷な迫害にまつわる事実が、他の参加者とメディアの関心を集めた。[45]
2019年7月15日、米国で第2回宗教の自由を促進するための閣僚会議が行われているあいだに、中国での信教の自由を推進するための同盟が初のサイドイベントを開催した。そこで全能神教会のキリスト教徒、鄒徳美(ゾウ・デメイ)は、ただ全能神を信仰しているがために、中国で逮捕を避けるために14年間逃亡していたこと、自分の母親をはじめとするキリスト教徒が迫害のすえに亡くなったことを話した。鄒徳美は2017年1月にアメリカに脱出し、米国は2019年3月18日に、迫害を受けていたことを根拠に彼女が国内に留まることを認めた。[46]
2019年7月23日、社団および個人の良心の自由協会(CAP-LC)、国境なき人権(HRWF)、宗教の自由に向けた欧州宗教間フォーラム(EIFRF)、欧州信仰自由連合(FOB)といった多くの非政府組織にくわえて、大勢の学者、宗教指導者、弁護士、人権活動家が、欧州宗教および信仰の自由円卓会議を結成した。この会議は共同文書を欧州議会の全議員はもちろん、全EU加盟国のEU大使にも送り、全能神教会のキリスト教徒の亡命申請を重要視するよう訴えた。
2019年12月11日、リトアニアのビリニュスで、リトアニア共和国国会議員29人と欧州議会の議員1人が中国大使館に共同文書を送り、中国政府に全能神教会を含む宗教団体への迫害を中止するよう求めた。[47]
2019年の12月末の時点で、米国国際宗教自由委員会(USCIRF)が、中国の良心の囚人として公表している65人のリストには、家庭教会の牧師、ウイグル族のイスラム教徒、仏教徒などが掲載されている。65人中53人が全能神教会の信者である。[48]
2020年1月、イタリアの宗教社会学者で新興宗教研究センター(CESNUR)の理事長でもあるマッシモ・イントロヴィーニャは、『全能神教会の裏側』と題した学術書を発表した。この本は同教会キリスト教徒にくわえて、中国共産党の警官と政府役人へのインタビューに基づいて書かれている。英語版は、オクスフォード大学出版局から刊行された。その中でイントロヴィーニャが強調しているのは、全能神教会は中国でもっとも迫害されている宗教団体で、中国に送還された信者は例外なく逮捕されて長期刑になるか、あるいはそれよりひどい運命に直面するということである。[49]
2019年には全能神教会の難民を助けるために、イタリア内務省の国家亡命権委員会は全領土委員向けに、同教会の最新情報を掲載したパンフレットを配布し、委員会の新任の委員を訓練する研修に、中国の迫害に関する課程を導入した。2019年の3月と7月には、COI(出身国情報)の文書でも、特に全能神教会に関する情報を二回更新した。2019年には、イタリアでの全能神教会キリスト教徒の亡命受け入れ率は前年に比べて8%増加した。海外全体での同教会キリスト教徒の亡命受け入れ率は12.7%に達し、前年比で4.26%高くなった。
しかしながら、中国共産党が全能神教会を陥れて信用を落とすために大量のフェイク・ニュースをでっちあげ、さらに休む間もなく外交的、政治的、経済的な手段で他の国に圧力をかけているために、同教会キリスト教徒の難民申請の多くは阻害されている。2019年12月の時点で、フランスの同教会キリスト教徒の受け入れ率はわずか8.6%で、申請者444人中403人が拒絶された。そのうち236人が出国命令を受け、受け入れを否定されたキリスト教徒の何人かは逮捕されて拘留所に連行され、そこで国外退去手続きを進められている。スイスでは、同教会の33人のキリスト教徒が亡命を申請し、29人が否定され、25人が出国命令を受けた。本国に強制的に送還された3人は、今も行方不明で生死も定かでない。日本や韓国といった、アジアの民主国家の受け入れ率は0%である。韓国に亡命を希望者した1,008人のうち、現時点まで亡命認定をされた者は一人もおらず、179人が出国命令を受けている。日本への亡命を希望した269人のうち、現時点まで亡命認定をされた者はいない。全能神教会キリスト教徒は危険な状況にある。送還されたら必ず中国共産党に逮捕・収監され、残忍な拷問を受けて死ぬこともある。
4. 結論
中国共産党政府が宗教的信仰に壮絶な抑圧と迫害をくわえる根本的な原因は、神と真理に対して本質的に極端な憎悪を抱いていることにある。共産党の生みの親であるカール・マルクスは『共産党宣言』の中で、「共産主義は永遠の真理を廃絶し、すべての宗教、すべての道徳を廃絶する」と述べている。中国共産党は政権を握ると、宗教的信仰への狂気の抑圧と残忍な迫害に手をつけた。全能神が現れて働きをなしはじめた1991年以来、中国共産党は全能神教会を情け容赦なく迫害してきた。2000年には、中華人民共和国公安部の元部長、賈春旺(ジア・チュンワン)が、全能神教会を「音をたてずに破壊」しなければならないと命じている。中国共産党はまた、同教会に関して次のような脅迫もしている。「粛清が完了するまで兵を引き上げることはない」同教会のキリスト教徒の逮捕と処罰に対する姿勢は、「殴り殺しても罪にはならない。死んでも自殺とみなされる」という言葉に表れている。そして「肉体の破壊と精神の破滅」といったテロリスト根絶政策を適用して、キリスト教徒の信仰の自由と生きる権利等の基本的人権を無慈悲にも踏みにじり剥奪している。2020年には、引き続きそうした取り組みを強化し迫害の範囲を拡大して、全能神教会を壊滅・消滅させようとするだろう。同教会の何百万人ものキリスト教徒にとって、信仰を実践する権利や単に生きる権利を行使する環境は悪化するだろう。中国共産党の常軌を逸した抑圧と迫害に遭い、さらには受け入れ国から中国に強制送還される潜在的危険性に直面して、全能神教会のキリスト教徒は、支援を得るために国際社会と人権団体に向けて迫害について収集可能な全事実を公表し、関連するデータと文書を提供する以外にないのである。
付録: 2019年、21の典型的ケース
1) 中国共産党政府が全能神教会のキリスト教徒を裁判手続きを踏まずに殺害
ケース1
任翠芳(レン・ツイファン)、女性、1988年生まれ。新疆の克拉瑪依(カラマイ)市に居住していた。全能神教会には2011年に入信した。2018年12月22日、神の信仰を理由に警察に逮捕され、12日間残忍な拷問を受けたすえに死亡した。まだ30歳の若さだった。遺体安置所に連れて行かれた家族は、遺体を目にしている。両目の周囲の皮膚は青や紫に変色し、胸の左側には人の手の大きさの黒っぽい紫と黒のあざがひとつ、両手両足の皮膚にはさまざまな大きさの青と紫の丸いあざができていた。太腿には、大きな火傷の痕があった。両手首と両足のかかとには裂傷と流血の痕があり、左足の親指の爪は剥がれていた。任翠芳が残酷な拷問を受けて命を落としたのは火を見るより明らかだったが、警察は責任を完全に否定したうえに、そのことを口外しないよう家族を脅した。家族には頼れるものがなかった。[50]
2) 中国共産党が全能神教会のキリスト教徒から生きる権利を剥奪
ケース2
喩祥菊(ユー・シャンジウ)、女性、1951年生まれ。陝西(シャンシー)省安康(アンカン)市出身。全能神教会には2002年に入信した。2018年6月27日、信仰を理由に陝西省家康市公安局漢濱(ハンビン)区分局の警官によって逮捕された。喩には危険なレベルの高血圧、心臓の異常、脳梗塞、カリウム値の異常な低下など重篤な症状があり、警察は十分承知していながら彼女を拘留した。また高血圧の薬は拘留所に入ると同時に没収された。警察は得体の知れない錠剤を1日に1錠飲むことだけ許したが、効果はまったくなかった。警察は彼女のカリウムのサプリメントを取り上げて、家族に薬が必要だと知らせてほしいという懇願を無視した。そのため喩は重いカリウム欠乏症に苦しむことになり、結果的に心臓の異常や高血圧を悪化させ、脳梗塞まで再発させた。治療がひどく遅れたために、喩は治療不能になり2019年3月29日に息を引き取った。[51]
ケース3
劉君(リュウ・ジュイン)*、男性、1998年生まれ。江西省に居住していた。全能神教会には2015年に入信した。2018年7月のある日、教会の集会に参加している最中に、地元の国保大隊の警官に逮捕された。警察は劉が腎臓病にかかっているのを知りながら尋問と脅迫を行い、病状を悪化させた。すると警察は拘留中に死なれて責任を負わされるのを恐れて、裁判を待つあいだの保釈を許可した。その後も警察に繰り返し呼び出されたせいで、劉は毎日恐怖を覚えながら生きることになり、病状を回復させることはなかった。2019年4月、警察は劉の深刻な病状を無視して、彼を再び逮捕し拘留した。この拘留中に劉は全身にむくみが出て呼吸困難になった。警察はそうした健康状態の悪化に気づいてはいたが、釈放しようとはしなかった。そのため彼の健康は急速に悪化し、尿毒症の発症から心臓病を併発するにいたった。警察はそのときになってようやく、裁判を待つあいだの保釈を許可した。治療が手遅れになったために、劉君は同年8月10日に21歳の若さで亡くなった。[52]
ケース4
真宇(ジェンユ)*、女性、1981年生まれ。遼寧省に居住していた。2007年に全能神教会に入信し、2018年6月下旬に中国共産党の「雷霆行動」の取り組みの中で逮捕された。拘留中、真宇の乳がんの手術の傷がまだ癒えていないのを警察は承知していながら、他の受刑者とともに日没から夜明けまでの9時間、固い板の上で背を伸ばしてあぐらをかくよう命じた。真宇はまた刑務所の規則を覚えて暗唱し、長時間直立不動の姿勢で立つことを命じられた。そうした責め苦のために彼女は日に4、5回激痛に見舞われたが、いつも苦しむまま放置された。拘留所の所長はまったく気に留めなかったどころか、無理やり彼女にあぐらをかかせつづけた。こうした扱いが7日続いたあと、訓練官は真宇を含めた受刑者を厳しい重労働に就かせた。そこに拘留所のひどく貧しい食事もあいまって、体調は改善しつつあったのにもかかわらず、乳がんが急激に悪化した。2019年4月、真宇は病死した。[53]
ケース5
張美娟(チャン・メイジュアン)*、女性、1973年生まれ。浙江省に居住する全能神教会のキリスト教徒だった。2017年7月2日、神の信仰のために地元の国保大隊の警官に逮捕・拘束された。拘留中は虐待を受け、冷水のシャワーを浴びせられた。もともとは健康だったが、肺を病んでしつこい咳が出るようになった。2019年3月、張美娟は胸の詰まりとともに体に激痛を感じはじめたが、警察は鎮痛薬しか与えなかった。そしてたびたび叱りつけられ話しかけるのを禁じられたせいで、彼女は極度の精神的苦痛にさいなまれるようになった。2019年5月、地方裁判所は「邪教組織を利用して、法の執行を妨害した」したとして張美娟に懲役3年6ヵ月の重い刑と10万人民元(約14,500US$)の罰金を科した。8月28日、張美娟は刑に服すために女子刑務所に送られた。その後彼女の体調は悪化しつづけた。9月10日には地元のがんセンターで末期の肺癌であると診断され、省の刑務所病院に移されたが、それでも釈放はされなかった。彼女の家族が健康上の理由による仮釈放の手続きを始めるのを警察が許したのは、9月18日に危篤状態になってからである。入院してから意識が途切れがちになり、右半身に麻痺も生じた。11月8日、ますます病状が悪化して張美娟は亡くなった。[54]
ケース6
劉華(リウ・フワ)*、男性、1950年生まれ。寧夏(ニンシア)回族自治区の固原(グーユェン)市に居住していた。全能神教会には2004年に入信した。2012年12月8日、劉華は福音を広めたために中国共産党の警察に逮捕された。他のキリスト教徒の家を教えさせようとして、警察は劉華をマイナス20℃の戸外に2時間以上留まらせた。凍えるような寒さのなか骨まで凍りつきそうな風に吹かれて、劉華の全身は硬直していた。派出所に戻ると、2人の警官がいきなり劉華の両腕を後ろに引っ張り、そのまま腕全体を乱暴に上に突き上げたために、劉華は右肩に重度の挫傷を負った。その結果、右腕と右肩、両膝に耐えがたい痛みを慢性的に感じるようになった。診察した医者は、重い関節リウマチにかかっていることを確認した。のちにこの病気が引き金になりいくつもの合併症を起こして、劉華は寝たきりになった。自宅での闘病中も、県の裁判所や検察、法執行部門の職員による頻繁な嫌がらせや脅しはやまず、そのことが極度の情緒的ストレスを生じて病状がいっそう悪化したために、2019年3月5日、劉華はついに帰らぬ人となった。[55]
ケース7
成香魚(1965年生まれ、女性)は、山西省晋城市在住であった。2012年に全能神教会に入信した。2018年11月15日の夜中、成は借家の自宅において、信仰の実践を理由に晋城市公安局、国保大隊、および地元の警察署の役人数人により逮捕された。勾留中、成は発熱。同じ監房にいた人たちが成の容態を繰り返し報告したが、看守は何ら注意を払わなかった。貧しい食事と毎日座り姿勢を保たなければならない状況が重なり、成の健康状態はみるみる悪化した。2019年1月11日、成は既にやせ衰えて血色が悪くなり、話し方も弱弱しく困難な様子で、しっかり立つことができず、歩行時は誰かのサポートを必要とした。警察は成の危険な状況を無視し、身柄を高平教育改心センターに移送。教化と改心を強制した。そこで、成の容態はさらに悪化した。警察が治療を遅らせたため、緊急救命措置は失敗し、成は1月13日に病院で死亡した。[56]
ケース 8
李素連(1963年生まれ、女性)は、河南省商丘市虞城県万鼎広場家属院の12階に住んでいた。2000年に全能神教会に入信した。2019年5月上旬、李は伝道を理由に警察に通報された。警察官は、李の信仰について情報を集めるため、李の写真を持って彼女が住む地域を周った。5月7日、李素連は自宅で、河南省永城市馬橋鎮派出所の警官に囲まれた。中国共産党による逮捕と残虐な拷問から逃れるため、大胆にも12階の窓から脱出しようとした李だが、不幸にも3階のバルコニーにぶつかり死亡した。この悲劇により精神的に打ちのめされ、憤りに満ちていた李の家族は、彼女の死について、公正な裁きを求めようとした。この事件に関わった警察署は、事件が問題になり、市民の怒りを招くことを恐れて、捜査対象の場所と人物が誤っていたと責任を否認した。警察は葬儀費用として家族に補償した額は、約60,000人民元(約8,700US$)にすぎなかった。家族は、法的手段もなく取り残された。[57]
ケース9
肖欣*(1944年生まれ、女性)は、湖南省永州市に住む全能神教会のキリスト教徒であった。2014年、中国共産党が悪名高いマクドナルド殺人事件をでっち上げ、全能神教会の名誉を剥奪し、信用を貶める事件があった。肖欣の息子は当初、母親の信仰に反対していなかったが、中国共産党の噂に騙され、母の信仰を妨害するためにできる限りのことを始めた。集会所まで尾行し、信仰を継続したら警察に通報すると脅迫したほか、何度も母の欠点を見つけ、殴り、罵った。村の党書記は息子を訪ね、「母親が信仰を続けるなら、彼女の生活費給付は打ち切られ、娘は学校で教育を受けられず、息子は大学に入学できなくなる」と警告した。それを聞いた息子は、信仰への反対をますます強めた。ある時は、神に祈っているところを見つかったがためだけに、肖欣は息子に髪の毛をつかまれ、ドアから投げ出され、顔面を二度平手打ちされたという出来事もある。肖欣はとても深く傷ついた。息子はまた、母親を長期的に監視し、信仰を続けるなら足を折るとも脅した。2019年8月、息子による迫害に耐えられなくなった肖欣は、農薬を飲み、苦しんで死亡した。
ケース10
程東珠(1955年生まれ、女性)は、湖北省武漢市に住む全能神教会のキリスト教徒であった。2018年8月、程は公安機関で働いていた息子から、中国共産党があるキリスト教徒を逮捕しようとしていることを知る。程はその人物が中国共産党による逮捕と迫害を免れるよう、急いで教会に報告した。まもなく警察は程の店を訪れ、取り調べを行った。それ以降、程は厳重な監視を受けるようになった。程に近づいた多くのキリスト教徒が尾行され、逮捕された。程は教会の集会で外出するたびに、中国共産党が仕掛けた人物によって見張られた。毎日恐れながら暮らし、体重はどんどん減った。2019年7月頃、程東珠は別の信者に対し、前年の逮捕作戦が息子による情報漏洩のために失敗したことを中国共産党の警察は知っていると告げた。彼女は、息子が前年に逃げた信者を見つけ、居場所を特定することを命じられ、それができない場合は仕事を奪われ、孫は大学にも行けなくなると圧力をかけられたと語った。程東珠はこのことで家族に影響が及ぶのを恐れ、言いようのないストレスに苦しんだ。7月23日、信仰関連の資料をすべて別の信者に預け、保管を頼んだ。程は、その際、家で大きな問題が生じたと告げた。同じ日の夜、約20人の警官が程の店の入り口に配置され人々を追い払っていたが、他にも付近の道端を歩き回っている警官もいた。その夜程東珠に何があったかは、今でも判明していない。7月24日午前4時を少し過ぎた頃、中国共産党の嫌がらせと迫害に耐えられなくなった程東珠は、池に身を投げた。遺体は7月25日午前1時頃に引き上げられた。[58]
3)中国共産党が全能神教会を拷問し教化を試みる
ケース11
譚慧真*(1988年生まれ、女性)は、全能神教会のキリスト教徒である。2017年7月2日、譚は全能神の信仰を理由に、浙江省の警察に逮捕、勾留された。2019年1月、譚は「邪教組織を利用して、法の執行を妨害した」罪で懲役2年3か月の判決を受け、その後刑に服するために刑務所に送られた。刑務所に行くと、職員が譚を隔離した。そして、神を冒とくし、全能神教会を中傷する6時間のビデオを視聴させ、教化と改心を迫った。彼女はビデオを見ながらメモを取り、視聴後は反省文を書かされ、夜には思想と理論に関する資料を手書きで10部作成させられた。少しでも刑務所職員の望む通りに作業しないと、厳しい叱責と侮辱、体罰を受けた。
看守は、譚慧真に信仰を放棄させる「四書状」(自白状、改悛状、決裂状、および糾弾・非難状)に署名させようと、意地の悪い囚人数名にさまざまな卑劣な手段で譚を苦しめるよう指示し、食物も1日に数口しか食べさせなかった。日中は飲み水を与えられず、毎日数時間気をつけの姿勢で立たされ、座らされた。囚人たちは譚の頭に水と尿をかけ、休める時間を制限し、腕の皮膚をつねった。看守はその後、譚に神を冒とくする資料の複製を強要し、拒否すると、譚の体を地面に押しつけ、顔と首じゅうに冒とく的なことを書いた。その後、残忍にも、血が出るまでペンの先端で譚の指を突き刺した。
あるときは、譚に神を冒とくすることを書かせるため、囚人が譚の頭を押さえ、左腕を背中の後ろでねじり、背中に足を押し付けた。別の囚人は譚の右手を開いてペンを持たせようとした。譚がもがくと、囚人の一人が譚の左の小指を上げて左腕を持ち上げ、ペンの先端を使って手の傷を刺し、同時に髪の毛を大量に引き裂いた。あまりの痛みに譚は叫び声を上げたが、他の囚人は彼女の口に雑巾を詰めるだけで、何度も何度も拷問を続けた。それから10日間、囚人は毎日このように彼女を苦しめ続けた。譚はあまりの辛さに、唇が裂けて口から血が流れるまで床板に頭を強く打ち付けることもあった。囚人らはこうなるまで、止めなかった。食糧と水を奪われたこともあり、譚は完全に消耗するまで拷問され続けた。譚は絶望と衰弱の危機に瀕し、体重は10キロ以上落ちた。
2か月後、集中的な教化と改心を目的に、譚慧真は別の刑務所管区に移送された。意地悪な囚人らは、譚に脚とかかとを付けて足を広げ、両手を膝に置き、背筋を伸ばした状態で、木製のベンチに座り続けることを命じた。また、一番大きいと思われる辞書2冊を両手に挟ませた状態で、立ったり座ったりさせた。彼らはこれを毎日4〜5時間行い、譚の苦しみは1週間続いた。
看守は譚慧真の決意を徹底的に打ち破るため、毎日2錠の向精神薬を約10日間服用させた。彼らは後に、耳に鉄の締め具をはめたり、清凉油(冷却軟膏)を目に入れたり、乳首を強くひねったり引っ張ったりするなど他にも残忍な拷問方法を用いた。刑期を終える頃には、中国共産党によるあまりの拷問により、譚の反応は減り、記憶は悪化し、全般的に混乱していた。釈放後、警察は長期的に譚の監視と教化を続け、3か月に1度警察署に報告を行い、司法事務所で5年間の改心訓練を受けることを要求した。譚は個人の自由を完全に奪われた。[59]
ケース12
章義*(1956年生まれ、男性)は、浙江省に住む全能神教会のキリスト教徒である。2017年7月2日、章義は全能神の信仰を理由に現地の警察に逮捕、勾留された。勾留中、警察は章義に教会に関する情報を差し出すよう強制し、中国共産党の役人が作成した文書への署名を要求した。章義が拒否すると、役人は拷問を始め、プラスチックの爪が24本突き出した椅子に毎日午前7時から午後8時30分まで座らせた。章義は背筋を真っ直ぐ伸ばし、両手を膝につけ、頭を上げ、胸を張った姿勢で、動かずに座らなければならなかった。この拷問が1か月以上続いた後、章義の尻の傷が化膿し、そのあまりの痛みから、彼は絶えず震え、夜は熟睡することができなかった。
2018年9月25日午前、警察は文書への署名を拒否した章義の手錠を何度も過剰に締めて苦しめ、彼はやがて意識を失った。手首には、手錠の深い跡が残されている。そして11月、章義は教化の拠点に連行された。
2019年1月、章義は裁判所より「邪教組織を利用して、法の執行を妨害した」罪で懲役2年3か月と罰金として10,000人民元(約1,450US$)の支払いを言い渡された。その後刑に服するために浙江省の刑務所に移送された。
投獄されると、章義を見張る為、看守は凶悪犯を手配し、そこでもプラスチックの爪がついた椅子に長時間座らされることとなった。看守はさらに、刑務所規則の暗記と暗唱を章義に強要した。3か月後、章義は再び尻全体がひどく化膿し、トイレを使うときも、しゃがむことさえ困難になった。体中の骨が痛んだ。
他の看守は、毎晩章義を見張るため交代で配置され、彼の側を半歩も離れることはなかった。章義は、他の囚人と話すことも許されなかった。このような見張りが6か月以上続き、章義は極度に落ち込み、気力を失った。
2019年10月上旬、章義は刑期を全うし、釈放された。投獄中に受けた非人道的な拷問のため、彼は坐骨神経痛と関節リウマチを患い、冷えに過敏になった。章義は現在も中国共産党の監視と嫌がらせを受け、うつと心理的苦痛の状態に置かれている。[60]
ケース13
肖雲(1968年生まれ、女性)は、雲南省に住む全能神教会のキリスト教徒である。2012年12月14日、肖雲は雲南省開遠市にて教会の本を配達中、開遠市公安局の役人によって逮捕、勾留された。2013年9月、肖は裁判所から「邪教組織を利用して、法の執行を妨害した」罪で懲役7年の判決を受け、その後刑に服するために雲南省の女子刑務所に送られた。
刑務所では、セーターを縫う作業場での労働を割り当てられた。作業場はほこりと黒煙、生地の染料の有害な臭いが充満していた。肖は毎日13時間以上の長時間労働を強いられた。最初からめまいや吐き気を覚え、3か月後には呼吸困難になった。
刑務所の役人は、肖に信仰を放棄させる「3つの陳述書」(自白の陳述書、断絶の陳述書、非難と批判の陳述書)への署名を強要するため、ありとあらゆる残酷な手段で拷問した。肖は、まる1か月4平米の部屋に閉じ込められたこともあった。その間、彼女はそこで飲み食いし、休まなければならなかった。肖は飢えた状態でいることも多かった。看守は1枚の掛け布を用意しただけで、肖はセメント板の上で眠らなければならなかった。監禁室から出た後、女性看守が肖雲を監視のない場所に引きずり出し、かかとの高い靴で肖の右のつま先を執拗に踏みつけ、砕けるまで踏み潰した。靴からは血が染み出し、肖は行く先々に血痕を残した。右足の指の色は、すべて青黒く変色した。「3つの陳述書」への署名強要に失敗したある時、看守は肖の右側を突然蹴った。肖は息ができず、ひどく痛がった(これにより背中を痛め、今も痛みは消えていない)。彼女はしばらく息もできなかった。その後、彼女に「3つの陳述書」への署名を強要する試みは続き、看守は手段を選ばなくなった。肖に1か月間体を洗わせないこともあった。時には肖を一晩中立たせ、たびたび食物の配給量を減らし、他の囚人に彼女を殴るよう指示した。また、顔が焼けて皮膚がめくれるまで灼熱の太陽の下に立たせて罰した。
肖雲の体は、長年を通じて刑務所で受けた厳しい労働と体罰の結果、どんどん衰弱していった。当初46キロだった体重は、32キロまで落ちた。2016年に肺感染症であることが判明し、咳が慢性化したが、それでも大量の労働を強いられた。容態は悪化し、2018年には結核を発症。だが、刑務所当局は、彼女が最終的に釈放された2019年5月まで彼女の投獄を続けた。帰宅後、肖雲は病院で健康診断を受けたが、結核治療の遅れから左肺に病理学的変化が生じたことを医師に告げられる。あまりにも多くの損傷を受けたため、呼吸能力が根本的に失われ、治療方法もなかった。彼女には一生の障害が残った。[61]
ケース14
李芳*(1958年生まれ、女性)は、浙江省に住む全能神教会のキリスト教徒である。2004年、李は全能神の信仰を理由に警察に逮捕され、「飛ぶ鷲」などの残酷な拷問を受けた。警官は、24時間、交代で彼女を苦しめた。2017年7月2日、彼女は礼拝への出席と神の信仰を理由に再び警察に逮捕、勾留された。2019年1月、李芳は裁判所より「邪教組織を利用して、法の執行を妨害した」罪で懲役2年3か月と罰金として10,000人民元(約1,450US$)の支払いを言い渡された。その後刑に服するために刑務所に送られた。
彼女が刑務所に入るとすぐに、看守は2人の囚人を派遣し、李芳を監視させ、教化と改心を行った。彼女に座った姿勢を維持させ、動くことを許さずに20センチしかない低い椅子に何時間も座らせた。李芳はすでに坐骨神経痛と腰椎椎間板ヘルニアを患っており、拷問は体の中央部にひどい痛みを与え、言いようのない苦痛を残した。降参しない彼女を見た看守は、さらに凶悪な囚人2人に拷問を命じた。囚人は李芳に、両手を脚にぴったり付けたまま、両脇に厚いハードカバーの本(厚さ6cm)を2冊挟んだ状態で直立させた。本が床に落ちるとすぐに、彼らは李芳の喉に水を流し込んだ。囚人はまた、李芳に神を冒とくすることを強制的に書かせようとし、李芳がそれを拒否すると、ペン先で右手を刺し、テーブルに叩きつけた。彼女の手はその場で風船のように腫れ上がり、出血した。あまりの痛みに、李芳はテーブルの下に倒れたが、それでも神を冒とくすることは書こうとしなかった。囚人たちは激怒して罵り、李芳の両頬を激しく平手打ちした。その夜、囚人たちは防犯カメラをキルトで覆い、李芳を床に押しつけ、ろっ骨を踏みつけた。李芳は耐え難いほどの痛みに叫び声を上げ、踏みつけられたことで胸に怪我を負った。床に横たわり、起き上がれず、呼吸すると痛みが走った。看守は後に、李芳に体罰を口外しないよう警告した。看守はまた、李芳にアイロンがけの労働を強いた。アイロンを持ち上げるたびに、胸に痛みが走った。状態がわずかに改善したことに気づいたのは、2か月経ってからであった。
李芳は2019年10月に刑期を全うし、釈放されたが、未だ非常に厳重な監視下にある。[62]
ケース15
劉宗現* (55歳、男性)と妻の魏書雲(54歳)は、河南省新密市に住む全能神教会のキリスト教徒である。2019年5月30日、2人は全能神の信仰を理由に7人の警察官に逮捕され、その後、現地警察署に強制連行された。教会に関する情報を聞き出すために、警察は2人を残忍な拷問にかけた。警官は劉宗現の両頬を平手打ちし、腰を激しく蹴った。また、鉄の棒で足のつま先を殴り、服を脱がせ、鉄の棒の上にひざまずかせた。その後、彼らは劉宗現を非常に低い温度に室温設定した部屋に滞在させた。あまりの拷問により、劉宗現は肋骨を2本折り(後に左側の10番目と11番目の肋骨が折れているとの診断)、現在は重い肉体労働を行うことができない。魏書雲も逮捕後、拷問を受けた。警察官は彼女のつま先と足の甲を踏みつけ、かかとで床に擦り付けた。また、定規と丸めた新聞紙で顔を打ちし、彼女の唇は出血し、顔が腫れた。その後、片方の腕を肩の上から、もう片方を下からねじって両腕をひねり、背中の後ろで手錠をかけ、手錠に鉄の棒を入れて繰り返し持ち上げたり引っ張ったりした。彼女はひどい痛みを受けた。釈放後、2人の携帯電話には強制的に位置探知機が付けられ、常に監視された。[63]
4)中国共産党が全能神教会のキリスト教徒通報に多額の報奨金
ケース16
徐慶霞と夫の丁仁新(ともに1975年生まれ)は、山東省棗荘市山亭区馮卯鎮に住む全能神教会のキリスト教徒である。2014年、中国共産党がマクドナルド殺人事件をでっち上げて全能神教会を告発し、大衆にキリスト教徒の密告を促すと、何者かが信仰を理由に2人を警察に通報。これを受け、2人は家を出て、逃亡した。5年の間に、村の幹部は徐の両親を何度も訪れ、2人の居場所を尋ねた。中国共産党の警察は、すでに逮捕したキリスト教徒に彼らの写真を見せ、夫婦が誰であるかを尋ねた。警察はまた、徐と夫が、重要犯罪者のウェブサイトで指名手配されていると言い、2人が子を見捨て、両親の世話を拒否したと中傷した。2019年4月、丁仁新は突然の脳出血により左半身が麻痺した。11月26日、治療のために危険を冒して病院に行くと、中国共産党が設置した高解像度カメラの顔認識で発見され、逮捕、勾留された。12月17日、棗荘市公安局山亭分局は、徐慶霞逮捕のために、10,000人民元(約1,450US$)の報奨金を出すことをオンラインで発表した。徐は、自分と夫が神の信仰のためだけに何年もの間指名手配されてきたこと、家庭が引き裂かれたこと、膀胱と腸が不自由な夫が逮捕されたこと、そしてその後夫について何も便りがないことを考えると、胸がナイフが突き刺されたように痛むのだった。[64]
ケース17
張豔玲(1968年生まれ、女性)は、山東省済寧市に住む全能神教会のキリスト教徒である。2018年6月、中国共産党は、教会の書籍管理人としての役割を理由に張の70代の母親を逮捕し、懲役4年の刑を言い渡した。数日後、張豔玲逮捕に失敗した中国共産党は、張の息子と80代の義母を逮捕した。2019年9月4日、泗水県公安局は、張の逮捕につながる情報に5,000〜10,000人民元(約725〜1,450US$)の報奨金を出すと発表した。また、斉魯TVと斉魯晩報でも告知し、WeChat(微信)では情報を報告するためのグループも立ち上げた。すべては、張豔玲の目撃情報を警察に通報するよう国民を煽ることが目的だった。張は現在もなお、逃亡を余儀なくされている。刑務所にいる母親を訪ねることもできず、家に帰って義母の世話することができず、さらに、息子と再会することもできない。これらすべてが、彼女に計り知れない苦しみと困難を与えた。[65]
ケース18
崔惠惠(1985年生まれ、女性)は、山東省聊城市の住人で、2003年に全能神教会に入信した。同年、崔惠惠は、福音を広めたことを理由に、わずか18歳で中国共産党に逮捕され、拷問を受けた。警察は崔の左のつま先を地面に踏みつけ、また、彼女と男性の囚人何人かを見せしめとして市中を歩かせた。崔は85日間拘束された後、釈放された。2013年、彼女は福音を広めたことを理由に、再び半月間勾留された。釈放後、村の党書記は警察官を崔の家に連れて行き、定期的に警察署に報告し、信仰を放棄することを命じた。崔は家を出て逃亡生活を強いられた。2013年11月、崔の父親が神の信仰を理由に中国共産党に逮捕され、懲役3年半の刑を言い渡された。2019年6月、崔の妹は、神の信仰を理由に中国共産党に逮捕された。彼女は今もなお拘束中である。2019年8月20日、聊城市茌平県公安局は、局のWeChat(微信)アカウントで数人の指名手配者の逮捕につながる情報を提供した者に報奨金を出す旨の通知を掲載した。報奨金は総額200,000人民元(約29,000US$)で、40人の被疑者に対して令状が発行された。崔惠惠もそのうちの1人である。中国共産党の迫害によって、キリスト教徒の一家が引き裂かれ、家に戻ることができなくなった。[66]
ケース19
孫連虎(1967年生まれ、男性)と妻の張玉春(1966年生まれ)は、山東省聊城市に住む全能神教会のキリスト教徒である。2013年、孫連虎の夫婦は、悪意のある人物によって信仰を理由に警察に通報された。この通報は、報告は茌平県公安局によって記録された。2014年6月4日、聊城市茌平県公安局と博平鎮派出所の警察官3人が孫の自宅に突入した。3人は福音を広めるために使われた信仰関連の資料やパンフレットをいくつか押収したが、2人を逮捕することはできなかった。この事件の後、警察は追跡を始め、夫婦は自宅からの逃亡を余儀なくされた。その後、中国共産党の警察は繰り返し孫の両親を訪ねては、尋問と嫌がらせを繰り返し、家宅捜索した。現地の公安局は、孫連虎との妻の逮捕令状を出し、2人の医療保険を取り消した。逃亡中、夫婦は息子と接触することができず、まして、帰宅して高齢で病気の両親の面倒を見ることもできなかった。これによって2人は深く苦しんだ。2019年8月20日、茌平県公安局は、孫連虎と妻の逮捕につながる情報に4,000人民元(約580US$)の報奨金を出すことをオンラインで公表し、2人の居場所を警察に通報させるよう市民を煽った。孫と妻は、今も自宅に戻ることができない。[67]
5)中国共産党がキリスト教徒の個人資産を押収
ケース20
王芳*(54歳、女性)は、山東省に住む全能神教会のキリスト教徒である。2019年7月11日午前、国保大隊の警官5人が王芳の自宅に押し入り、王を強制的に逮捕した。同じ日の午後、警官は王を家に連れ戻し、家宅捜索を行った。そして、現金で270,000人民元(約39,150US$)と約40,000人民元(約5,800US$)相当の金と宝石を見つけた。総額は約310,000人民元(約45,000US$)に上った。警察は、資産は教会のもので、不正流用するつもりだったと王に無理やり言わせようとしたが、彼女は自分の財産であることを断固として主張した。協力する意志がない様子を見て、警官は王を拘留所に護送した。8月22日、王の家族の何人かは保釈金を出したが、釈放間際、警察は王に1年間市を離れることは許されず、信仰を継続していることが判明した場合は、直ちに再逮捕すると警告した。警察は、押収した王の所有財産をまだ返していない。
ケース21
秦美娟*(53歳、女性)は、山東省に住む全能神教会のキリスト教徒である。警察は、信仰と教会での総務を理由に、高度な技術を使って4か月間秦を追跡した。2019年11月1日、警官10人以上が秦美娟の家に乱入し、彼女を逮捕した。その後、警官は秦の自宅を強制捜査し、200,000人民元(約29,000US$)の個人資金、金と銀の宝石を見つけた。状況をよく知る他者が、見つかった資産はすべて、海外で働く娘が汗水たらして稼いだお金であると直接証言したにもかかわらず、警察はそれらを押収し、「不正な利益」であると決めつけた。省公安庁職員は、「全能神の信者を破産するまで罰すれば、信仰を実践できなくなるだろう」と述べた。秦美娟は今も拘束されている。
6)中国共産党が全能神教会のキリスト教徒を任意に拘束、投獄
概算統計によると、2019年は全能神教会のキリスト教徒の少なくとも1355人が、集会、福音の共有といった信仰活動や、信仰資料の自宅保持を理由に、「邪教組織を利用して、法の執行を妨害した」罪で刑を言い渡されている。そのうち64人が、7年以上の刑を言い渡された。詳細は以下の表を参照。
表4: 2019年に7年以上の刑を言い渡された詳細
No. |
名前 |
性别 |
生年月日 |
判決日 |
判決場所 |
出典 |
1 |
向彩花 |
女 |
1973 |
2019/09/10 |
新疆ウイグル自治区 |
|
2 |
崔敬 |
女 |
1979 |
2019/09/10 |
新疆ウイグル自治区 |
|
3 |
欧陽秋萍 |
女 |
1989 |
2019/09/04 |
新疆ウイグル自治区 |
|
4 |
楊美雲 |
女 |
1979 |
2019 |
浙江省衢州市 |
|
5 |
陳菊 |
女 |
1970 |
2019/09/11 |
四川省遂寧市 |
|
6 |
賀春 |
女 |
1970 |
2019/09/10 |
新疆ウイグル自治区 |
|
7 |
李萍 |
女 |
1957 |
2019/09/10 |
新疆ウイグル自治区 |
|
8 |
桂承霞 |
女 |
1962 |
2019/09/10 |
新疆ウイグル自治区 |
|
9 |
李芳莉 |
女 |
1964 |
2019/09/11 |
四川省遂寧市 |
|
10 |
董春華 |
女 |
1963 |
2019/9/10 |
新疆ウイグル自治区 |
|
11 |
周家栄 |
女 |
1970 |
2019/10/11 |
江蘇省徐州市 |
|
12 |
代玲恩 |
男 |
1987 |
2019/07/02 |
浙江省杭州市 |
|
13 |
鐘瓊 |
女 |
1978 |
2019/09/11 |
四川省遂寧市 |
|
14 |
劉淑華 |
女 |
1963 |
2019/09/11 |
四川省遂寧市 |
|
15 |
胡文蘭 |
女 |
1966 |
2019/09/04 |
新疆ウイグル自治区 |
|
16 |
張雪 |
女 |
1990 |
2019/09/04 |
新疆ウイグル自治区 |
|
17 |
唐暁蓉 |
女 |
1968 |
2019/09/04 |
新疆ウイグル自治区 |
|
18 |
徐夢林* |
女 |
1975 |
2019/12/19 |
湖南省長沙市 |
|
19 |
王接枝 |
女 |
1970 |
2019/5/13 |
江西省上饒市 |
|
20 |
劉長芬 |
女 |
1968 |
2019/10/31 |
山東省淄博市 |
|
21 |
向陽* |
女 |
1970 |
2019/12/19 |
湖南省長沙市 |
|
22 |
呉美霞 |
女 |
1975 |
2019/6/27 |
内モンゴル自治区烏海市 |
|
23 |
王秋紅 |
女 |
1978 |
2019/12/20 |
江西省撫州市 |
|
24 |
陳婷婷 |
女 |
1991 |
2019/12/20 |
山東省淄博市 |
|
25 |
尹雪 |
女 |
1996 |
2019/12/20 |
山東省淄博市 |
|
26 |
羅暁麗* |
女 |
1988 |
2019/12/19 |
湖南省長沙市 |
|
27 |
馬春蘭 |
女 |
1970 |
2019/04/23 |
江蘇省徐州市 |
|
28 |
熊正秀 |
女 |
1971 |
2019/09/06 |
江西省九江市 |
|
29 |
趙英姿* |
女 |
1963 |
2019/09/30 |
山東省青島市 |
|
30 |
張春栄 |
女 |
1982 |
2019/09/30 |
山東省青島市 |
|
31 |
孫萍 |
女 |
1970 |
2019/10/31 |
山東省淄博市 |
|
32 |
冉孟群 |
女 |
1972 |
2019/08/02 |
重慶市 |
|
33 |
肖順元 |
男 |
1976 |
2019/06/14 |
甘粛省酒泉市 |
|
34 |
林美華* |
女 |
-- |
2019 |
浙江省麗水市 |
|
35 |
張海青* |
女 |
-- |
2019 |
浙江省麗水市 |
|
36 |
甘心* |
女 |
1968 |
2019/11/30 |
江西省宜春市 |
|
37 |
易思* |
女 |
1976 |
2019/11/30 |
江西省宜春市 |
|
38 |
魏暁軍* |
女 |
1977 |
2019/12/19 |
湖南省長沙市 |
|
39 |
向明瓊 |
女 |
1962 |
2019/08/16 |
重慶市 |
|
40 |
袁洪芬 |
女 |
1974 |
2019/9/30 |
山東省青島市 |
|
41 |
王亮* |
男 |
1985 |
2019/12/19 |
湖南省長沙市 |
|
42 |
石棟方 |
女 |
1969 |
2019/03/12 |
広東省肇慶市 |
|
43 |
王瑞玲 |
女 |
1971 |
2019/04/23 |
江蘇省徐州市 |
|
44 |
徐豔平 |
女 |
1981 |
2019/05/13 |
江西省上饒市 |
|
45 |
孫文蓮 |
女 |
1965 |
2019/01/28 |
新疆ウイグル自治区 |
|
46 |
簡蓉 |
女 |
1968 |
2019/03/19 |
貴州省六盤水市 |
|
47 |
陳焰娥 |
女 |
1985 |
2019/03/25 |
江西省九江市 |
|
48 |
沈力* |
女 |
1977 |
2019/10/09 |
浙江省紹興市 |
|
49 |
陳欣* |
女 |
1970 |
2019/10/09 |
浙江省紹興市 |
|
50 |
銭柏慧* |
女 |
1956 |
2019/09/30 |
山東省青島市 |
|
51 |
劉雪梅 |
女 |
1974 |
2019/09/10 |
新疆ウイグル自治区 |
|
52 |
王健 |
男 |
1991 |
2019/09/10 |
新疆ウイグル自治区 |
|
53 |
王玉玲 |
女 |
1974 |
2019/09/10 |
新疆ウイグル自治区 |
|
54 |
黄秋香 |
女 |
1965 |
2019/09/04 |
新疆ウイグル自治区 |
|
55 |
張振霞 |
女 |
1971 |
2019/10/31 |
山東省淄博市 |
|
56 |
呉錫秀 |
女 |
1964 |
2019/08/02 |
重慶市 |
|
57 |
肖輝* |
男 |
1991 |
2019/07/22 |
浙江省金華市 |
|
58 |
李髪聖 |
男 |
1991 |
2019/12/20 |
江西省撫州市 |
|
59 |
陳自全 |
男 |
1984 |
2019/12/20 |
江西省撫州市 |
|
60 |
範友英 |
女 |
1965 |
2019/12/20 |
江西省撫州市 |
|
61 |
王会香 |
女 |
1978 |
2019/12 |
山東省淄博市 |
|
62 |
楊才勇* |
男 |
-- |
2019/03 |
江西省九江市 |
|
63 |
羅佳麗* |
女 |
-- |
2019 |
内モンゴル自治区フフホト市 |
|
64 |
田宇* |
女 |
-- |
2019 |
河南省 |
1 葉嵐. 『北京では家庭教会への弾圧が強化 「清零行動」進行中』. 2019年5月19日.
https://bitterwinter.org/beijing-house-churches-under-escalating-attack/
2 ライアン・ファーヒ(Ryan Fahey). 『中国は少数民族のイスラム系ウィグル族を弾圧するなか、聖書とコーランを「社会主義的価値観を反映」するよう書き換えるだろう』. デイリーメール. 2019年12月24日.
3 ワン・ジチャン(Wang Zhicheng). 『宗教団体に対する新たな行政措置: 中国共産党への全面的服従』. ASIANEWS. 2019年12月31日.
4 中沢克二. 『中国が恐れる「カラー革命」と対米譲歩の微妙な関係』. 日経新聞. 2019年2月14日.
5 スティーブン・リー・マイヤーズ(Steven Lee Myers). 『イスラム教への弾圧、中国全土に広がる』. ニューヨーク・タイムズ. 2019年9月21日.
https://www.nytimes.com/2019/09/21/world/asia/china-islam-crackdown.html
6 シャオシャン(Xiaoshan). 『習近平政権下の中国で神に関する全ての言葉が禁止に: ハンス・クリスチャン・アンデルセンの童話が要注意用語に引っかかる』. RFI. 2019年5月28日.
http://www.rfi.fr/cn/中国/20190528-习治下中国不容上帝字眼-安徒生童话也遭敏感词删砍
7 マッシモ・イントロヴィーニャ. 『中国共産党の偽ダライ・ラマ擁立計画が暴露される』. チベット中央政権.2019年10月5日.
https://tibet.net/ccps-plans-to-install-a-false-dalai-lama-exposed/
8 ポール・ムラーノ(Paul Murano). 『中国のカトリック教徒、聖画を習近平の肖像画に架け替えさせられる』. 戦うキリスト教徒. 2019年11月26日.
9 『「習近平思想」の侵略: 寺院に大画面のテレビを設置して毎日放送を流し、教会の図書室を聖書ではなく習近平の著書で埋めるよう要請』. 中国禁闻网[www.bannedbook.org]. 2019年10月19日.
https://www.bannedbook.org/bnews/headline/20191019/1209389.html
10 白勝一. 『複数の省の機密文書が公開され、全能神教会への新たな弾圧が始まる』. 2019年6月17日.
https://bitterwinter.org/new-round-of-crackdown-against-the-church-of-almighty-god/
11 『新疆で2度逮捕された30歳のキリスト教徒に懲役15年半の判決』. ADHRRF. 2019年12月26日.
12 『HRWF囚人データベース--中国』. HRWF. 2019年12月17日更新.
https://hrwf.eu/hrwf-prisoners-database-china/
13 『1469例の中国共産党による全能神教会キリスト教徒への恣意的な逮捕・拘束』. ADHRRF. 2019年12月9日更新.
https://en.adhrrf.org/the-christians-from-the-church-of-almighty-god-arrested-or-persecuted.html
14 葉佳佳. 『激化する山東省の宗教弾圧 大規模な検査と体系的な調査は進んでいる』. 2019年5月30日.
https://bitterwinter.org/religious-suppressions-intensify-in-shandong/
15 『家主とごみ収集人を政府のスパイに募集』. 中国禁闻网[www.bannedbook.org]. 2019年1月19日.
https://www.bannedbook.org/bnews/headline/20190119/1066677.html
16 張峰. 『中国政府が無法者を雇い、不動産管理人に信者を監視させる』. 2019年7月27日.
https://bitterwinter.org/your-landlord-could-be-spying-on-you/
17 『塩湖公安分局からの重要速報! 家主の相互報告を要請!』. テンセント. 2019年1月24日.
https://new.qq.com/omn/20190124/20190124B1A93D.html
18 王平の情報は付録の表3、丁仁新の情報は付録のケース16を参照。
19 『河南で反全能神教会のプロパガンダが急増』. TASRHR. 2019年8月21日.
20 李明軒. 『山東省全能神教会の弾圧が続き、さらに260人の信者が逮捕される』. 2019年8月31日.
https://bitterwinter.org/260-church-of-almighty-god-members-arrested-in-shandong/
21 趙明哲. 『中国建国70年目の国慶節の前に逮捕作戦 100人以上の全能神教会信者が逮捕された』. 2019年9月28日.
https://bitterwinter.org/suppression-of-believers-intensifies-ahead-of-national-day/
24 『山東で全能神教会の信徒が千人以上逮捕される』. ADHRRF. 2019年11月23日.
https://en.adhrrf.org/134255.html
25 『2019年、石溪镇における反邪教活動の要点』. 重慶直轄市南川市轄区人民政府ポータル. 2019年4月28日.
http://zwgk.cqnc.gov.cn/html/content/19/04/008682034-2019-02352.shtml
26 『山西のキリスト教徒が警察に強制洗脳され、火や熱湯による拷問と性的虐待を受ける』. ADHRRF. 2020年1月15日.
27 『拘留中に飛び降り自殺をした、キリスト教徒ウー・ハイヤンの数奇な事例』. 全能神教会.
https://www.kingdomsalvation.org/persecution/deprivation-of-the-right-to-subsistence-012.html
28 向義. 『新疆の収容所には全能神教会のキリスト教徒も勾留されている』. 2019年7月17日.
https://zh.bitterwinter.org/church-of-almighty-god-membes-in-xinjiang-camps/
29 リー・ベンボー(Li Benbo). 『連座制: 新疆で全能神教会の信者の家族を再教育』. ステラ・デル・マティーノ. 2019年8月13日.
https://en.msa-it.org/freedom-news20190813/
30 常新. 『新疆でキリスト教徒が大量逮捕、もしくは自宅での「改心」を要求』. 2019年8月6日.
https://bitterwinter.org/church-of-almighty-god-members-transformed-in-xinjiang/
31 Freedom of Religion or Belief Victims List. USCIRF. (『信仰・信教の自由の犠牲者リスト』.USCIRF)
https://www.uscirf.gov/victims-list/prisoner/12881;
唐哲. 『中国: 全能神教会信者が重い懲役刑を言い渡される』.
https://bitterwinter.org/church-of-almighty-god-members-given-hefty-prison-sentences/
32 Massimo Introvigne, James T. Richardson, and Rosita Šorytė. Would the Real Article 300 Please Stand Up? Refugees from Religious Movements Persecuted as Xie Jiao in China: The Case of The Church of Almighty God. The Journal of CESNUR, Volume 3, Issue 5, September—October 2019, pages 3—86. (マッシモ・イントロヴィーニャ、ジェームズ・T・リチャードソン、ロシータ・ショリーテ. 『本当の刑法第300条を有効にしてくれませんか? 中国で邪教として迫害された宗教活動の難民: 全能神教会の事例』.The Journal of CESNUR, Volume 3, Issue 5, 2019年9、10月, pp.3—86)
https://cesnur.net/wp-content/uploads/2019/09/tjoc_3_5_1_introvigne.pdf
33 ヤオ・ジャンジン(Yao Zhangjin). 『30人の信者が長期刑に』. Bitter Winter. 2019年11月2日.
https://bitterwinter.org/30-believers-sentenced-to-long-terms-in-prison/
34 マッシモ・イントロヴィーニャ. 『習近平の「スマート刑務所にようこそ」: 極秘文書が暴露される』. 大紀元. 2019年7月24日.https://www.theepochtimes.com/welcome-to-xi-jinpings-smart-jails-a-secret-text-revealed_3014660.html
35 『刑務所で残忍な体罰を受けた年配のキリスト教徒に後遺症が残る』. ADHRRF. 2019年12月21日.
36 『キリスト教徒の譚慧真(タン・フイジェン)、200日以上の強制洗脳と向精神剤の投与を受ける』. ADHRRF. 2019年1月21日.
37 フー・ケー(Hu Ke). 『刑務所での7年間の拷問のすえに障害を負った信者が出所』. Bitter Winter. 2019年12月17日.
https://bitterwinter.org/believer-returns-disabled-after-7-years-of-torment-in-prison/
38 李明軒. 『自由だが制限あり: 信者の新たな管理手段「5対1管理体制」』. 2019年4月30日.
https://bitterwinter.org/free-but-not-so-much-new-measures-to-control-believers/
39 『神の信仰のために常時監視と嫌がらせを受けた年配の信者が自殺を強要される』. ADHRRF. 2019年7月22日.
40 蘭州(ランジョウ)市中級人民法院. 『【裁判所からのご注意】 家族が一人でも犯罪を犯せば家族全員が巻き込まれます。刑を宣告された犯罪者はこれらの地位に就けず、子供も制約を受けます』. 百姓头条[quchew.com]. 2019年9月2日.
http://www.quchew.com/content/20190902/2872451.htm
41 白勝一. 『機密文書を入手: 海外の全能神教会を弾圧する中国共産党の計画が明らかに』. 2019年7月18日.
https://bitterwinter.org/plans-to-persecute-cag-abroad-exposed/
42 賈志剛. 『俳優から難民に 賈志剛が語る』. 2019年7月27日.https://bitterwinter.org/from-actor-to-refugee-the-story-of-jia-zhigang/
43 肖百明. 『欧州に逃亡した全能神教会の信者に狙いを定める中国共産党』. 2019年9月20日.
https://bitterwinter.org/ccp-preys-on-chinas-religious-refugees-in-europe/
44 トム・マイルズ(Tom Miles). 『サウジアラビア、ロシアなど37ヵ国が中国の新疆政策を後押し』. ロイター通信社. 2019年7月12日.
45 YouTube動画. 『米国国会議員が中国での信教の自由を推進するための同盟の設立を祝福』. 東方之光. 2019年4月7日.
46 YouTube動画. 『中国のキリスト教徒への中国共産党のハイテク監視から、14年逃げつづけた信者の証言』. 東方之光. 2019年8月2日.https://youtu.be/8_RuLXRNZhY
47 リトアニア国会の下院議員30人が習近平に、ウイグル族、チベット人、カトリック教徒、法輪功(ファールンゴン)への迫害をやめるよう訴え』. チベット中央政権. 2019年12月17日.
48 『信仰・信教の自由の犠牲者リスト』.USCIRF.https://www.uscirf.gov/victims-list/
49 マッシモ・イントロヴィーニャ. 『全能神教会の裏側: 中国でもっとも迫害された宗教活動』. オクスフォード大学出版局.
50 常新. 『全能神教会の信者が警察に拘束されて死去』. 2019年9月15日.
https://bitterwinter.org/church-of-almighty-god-believer-dies-in-police-custody/
51 『拘束された重病のキリスト教徒、祥菊が中国共産党に薬を没収され治療が遅れたために死亡』. ADHRRF.2019年10月31日.
52 『中国共産党の迫害を受けた21歳のキリスト教徒、刘君の病状が悪化し、治療が手遅れになって死亡』.
53 『拘留中の遼寧省のキリスト教徒が中国共産党の虐待のためにがんを再発して死亡』. ADHRRF. 2019年9月10日.
54 『拘留中の浙江省のキリスト教徒が、中国共産党の虐待のために肺がんになって死亡』. ADHRRF. 2020年1月5日.
55 『全能神教会のキリスト教徒、刘华が中国共産党の残酷な拷問のために麻痺を起こし、長期の嫌がらせを受けたあとに死亡』. ADHRRF. 2019年12月3日.
56 『信仰を理由に逮捕されたキリスト教徒の成香魚が拘束中に健康を損ない、治療の遅れで死亡』. ADHRRF. 2019年4月19日.
57 『中国共産党警察に囲まれた全能神教会のキリスト教徒、李素連が、逃げようとして飛び降り死亡』.ADHRRF. 2019年12月16日.
58 『中国共産党による長期的な監視と圧力に耐えられなくなったキリスト教徒の程東珠が、入水自殺に追い込まれる』. ADHRRF. 2019年9月20日.
62 『キリスト教徒が刑期中に虐待と教化を受け、身体的、精神的苦痛を受ける』. ADHRRF. 2019年12月20日.
63 『キリスト教徒の夫婦が神の信仰を理由に逮捕され、拷問を受ける。夫は肋骨を2本骨折』. ADHRRF. 2020年1月7日.
64 『通報すると報奨金最高1万元』. 最熱播[zuirebo.com]. 2019年12月17日.
https://drive.google.com/file/d/1-yu0SM6obFEgUaW886fs6MYIPbw28ipT/view
65 孔令茹『泗水の女性を発見したら警察に通報を。重大犯罪の容疑者です』. 看点快報[kuaibao.qq.com]. 2019年9月5 日.
https://kuaibao.qq.com/s/20190905A0AQWR00?refer=spider;
Zhang Wenshu. Church of Almighty God Devotees Hunted for Practicing Faith. Bitter Winter. January 10, 2020. (Zhang Wenshu.『全能神教会の信者が、信仰の実践容疑で指名手配』. Bitter Winter. 2020年1月10日)
https://bitterwinter.org/church-of-almighty-god-devotees-hunted-for-practicing-faith/
66 『中国共産党が、福音を広めた容疑で指名手配中の崔惠惠に報奨金』. ADHRRF. 2019年12月19日.
https://en.adhrrf.org/ccp-sets-bounty-for-cag-christian-cui-huihui-for-spreading-the-gospel.html
67 『中国共産党が全能神の信仰容疑で指名手配中のキリスト教夫婦、孫連虎と張玉春に報奨金』. ADHRRF. 2019年12月20日.
斉魯今日聊城『報奨金20万人民元!聊城の以下40人を目撃したら直ちに警察に通報を!』. 漢豊網[www.kaixian.tv]. 2019年8月27日.
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